好きで、ごめんね 2

後悔と変わらない想い 7 ページ17

貴女side

2人が去って、私は1人廊下でうずくまっていた。袖を涙で濡らしながら。

貴「ふっ………う……」

誰にも気づかれないように声を殺して、ただひたすら泣き続けた。

最初からわかっていたこと。山畑が佑生のことが好きなことなんて。でも、どこかで期待していた自分がいた。もしかしたら……私を選んでくれるかもしれない。そんなことあるわけないのに。それでも……動くのが早かったら？ もっと話しかけていたら？ アピールしていたら？ この結果は変わっていたの？ ねぇ……？

桃「……A……？」

ずっと泣いていると、上の方から声がした。私はビックリして反射的に顔を上げる。

貴「も……も…？」

心配そうに私を見下ろす、桃の姿があった。

桃「どうしたの……？ 大丈夫……？」

私はハッとして涙を拭って、笑顔を作る。

貴「…ふふっ……大丈夫だよ」

笑えてるかな……？ 目の前であんなことがあった私は頭が混乱して正常に考えることができなかった。

桃「なんで泣いてるの……？」
貴「泣いてないよ……？」
桃「泣いてるよ。ジャージの袖がこんなに濡れてるし、目が赤くなってるじゃん」
貴「これは……目にゴミが入って洗おうとトイレに行ったら、変に転んで蛇口捻っちゃってビッシャーって」
桃「嘘……つかないで？」
貴「嘘なんかついてな……」
桃「嘘。最近のA暗い顔してる。何かあったんでしょ？」
貴「ほんと、何もないって」
桃「…山畑が付き合ったのは何もないなの？」

その一言で私はまた泣きそうになった。

貴「見てた……の？」
桃「全部。何から何まで」
貴「……」
桃「お疲れ様。佑生に嘘ついたことも、今日やろうとしてたことも全部私知ってるよ……」
貴「っ……？！」

私は驚きで声が出なかった。

桃「だから……おいで」

そう優しい桃の声が聞こえたかと思うと、私は桃の匂いに包まれていた。

貴「も……も…？」
桃「何も考えなくていい。だから……思いっきりなきな」

そう言って私の頭を自分の胸に抑える。

貴「ううっ…………うわぁ………！」

私は子供のように桃の腕の中で泣いた。その間桃はただ何も言わず、頭をゆっくりと撫でてくれていた。

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