好きで、ごめんね 2

後悔と変わらない想い 3 ページ13

梨華side

貴「………うん……」

そういうAの声はいつもよりもはるかに低い声。生気を失ったかのようだった。

梨「A……。でも、諦められるの？」
貴「わからない……けど、もう嫌なの……！ 叶うはずもない想いが…。わかってたはずなのに…なのに、辛いんだよ……！練習してても、姿が見えるだけで…思い出して、泣きそうになって。しかも、先輩にも知られて、すっごいいじられて。あいつにもいっぱい迷惑かけて……！」

Aはその時のことを思い出しながら いっているのだろう。山畑への想いが、想うことの辛さが、ひしひしと伝わってきた。けど、ここで終わってしまってはいけない。Aへ私はキツイ言葉を投げかけた。

梨「A…？ Aがもの凄く辛い思いをしているのは分かる。けどね、みんながみんな、自分の想いが叶うわけじゃない。それに、わかってるでしょ？恋は……片想いは辛いって。だから、Aだけじゃないんだよ……？」
貴「っ………！」

ごめんね……けど、山畑の想いを私が言うことはできないの。2人でぶつからなきゃ。だから、今はこんなことしか言えないけど………！

貴「…わかってる……。ほんと、だからどうした？って感じだよね……私はいっつも甘えてばっか。だから、こんな簡単なことで嘆いて。バカだと思ってるよ」
梨「…A」
貴「けど、やっぱり辛いの。ずっと、ずっと言い聞かせてきた。もっと前向きに考えようって。でもそう思う度に、どんどんすれ違ってる。前のようにはなりたくない…頑張る！って決めてこの恋をしたの。けど、前と一緒。好きって気付いたら避けちゃって、もう横には違う娘がいて。心友からは、何回もいろんなあいつの話聞かされて。私がずっと見れてた笑顔が、私には一切向けられることはなく、別の娘に向けられてる。それを見るたびに嫉妬して、そんな自分を嫌いになって、ちょっとでも期待してた心がズタズタになってく」

ずっと言えなかった想いが、今、何かがきっかけで爆発している。私はそれを黙って聴き続けた。

貴「期待してた自分が悪いんだよね……それを人のせいにして。だから、もう嫌なの。自分が悪いのに、人のせいにして勝手に傷ついて、あいつに迷惑かけてしまうことが。それが？ってほどのことだと思う。……ごめん……なんか、私ばっかどうでもいい甘えたこと言ってて」

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