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喧嘩の終点は、随分ふわりとしてた。
「ひとりで選ぶからいい。」ってまた、強がったことを言うと、大倉くんはなにも言わずどこかに消えてしまって、買い物が終わるころに両手にカフェのプラスティックカップを持ってふらっとあらわれたと思ったら、
「ごめん。」
カフェオレの方を私にくれた。
なにが悪かったとか、言い訳とかは特にせずに、そのまま買い物袋を私から取ってカップを持った方の手に通すと、空いた手で私の手を取り歩き出した。
「…靴下とよだれかけのセットとあと赤ちゃん用のCDにした。」
「ありがとう。…腹、減ってる？」
「…まあ、減ってるけど。」
「ほなどっかウマいもん食いにいこ。」
いじけたような話し方になってしまう私に、大倉くんはいつものやさしくて私を甘やかすような声でそう言うからなんだか結果として、私が一方的に不貞腐れてるみたいになる。
大倉くんはずるい。ほんとうに。
外から戻ってきた大倉くんが来たときには私たちはもう八分ほど食べ終わっていた。
「今戻ってきてん。むっちゃ腹減ったわ。」
私たちのテーブルにやってきた大倉くんは私のとなりに座る。
大倉くんのトレーには親子丼がのっていた。淡くてやさしい卵の色と飴色のたまねぎ、それからふっくらとした鶏肉。
もうすぐ昼休みも終わりの時間だからか、食堂のひとがすくなくなっていく。
私と安田くんは他愛もない話でほがらかに笑ったりして、大倉くんは真剣に親子丼を食べながらたまに会話に加わった。
「俺午後外やからそろそろ準備して行かな。」
ほなふたりとも、あとでなー、ってにこにこしながら去っていった安田くんをすこしだけ目で追って、視線を大倉くんのほうになにげなく向けたら口をもぐもぐとおおきく動かして親子丼を食べている大倉くんと目が合う。
「…なに？」
なにか思惑があるような目でじっと見てくるからそう訊くと、
「俺がさ、ヤスとAちゃんがふたりでおるの見るたびちょっとどきっとしてんの、知らんやろ。」
って。ひとがまばらになった食堂に、拗ねた子どもみたいな口調でそう呟かれた。
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蒼 夢見子(プロフ) - 璃実さん» 璃実様、お返事が遅くなってしまいごめんなさい…！ただのいちファンとしての勝手な主観ですが、大倉くんの強さややさしさを描けたらなと思いながら書いていたお話なので、そう言っていただけてほんとうに嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございました^^ (2023年3月4日 22時) (
レス) id: 4e57835bcc (このIDを非表示/違反報告)
璃実(プロフ) - 沢山の人から生真面と言われてきたので主人公とどこか重ねて読んでいました。私がそうであってほしいと思う大倉くんと、きっとほんの一部ではありますが私が見てきた大倉くんを形にしたのもがまさに夢見子さんの描く大倉くんでした。素敵なお話をありがとうございます。 (2023年2月19日 23時) (レス) @page23 id: 096fac2c00 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 日玖さん» 日玖様、最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。そのようなことを言っていただけて私もしあわせです……少しでも楽しく読んでいただけていたらそれだけでもうとても嬉しいです^^ありがとうございました…！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 美波さん» 美波様、あたたかいコメントいただけてとてもうれしいです…（涙）お話を書くのは自己満足のためとは言え、読んでくださる方がいてこそ最後まで書くことができたと思っています。こちらこそ心から感謝です……本当にありがとうございました！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
日玖(プロフ) - 完結おめでとうございます。ほんっとうに物語に引き込まれっぱなしで、読んでいる時間いつだってとても幸せでした…！素敵な作品を、ありがとうございました。 (2022年3月9日 22時) (レス) @page23 id: bbffd7f7da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年7月16日 0時
