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「うつるよ。」
もうちょいそっち行って、ととなりに寝転んだ大倉くんは私の身体をやさしく押すから顔をしかめると、
「マスクしとるから大丈夫やろ。」
もぞもぞと動きながらいたずらな目で私を見た。
やっぱり、シングルにふたりは狭い。身体が密着せざるを得なくて私は半ば諦めていたし、ほんとうはこうしてほしかった。もっとはやく。
大倉くんのTシャツからいつもの柔軟剤のにおいがして、大倉くんが動くたびにふわりとシャンプーのにおいがする。おだやかに酔っているような気分になった。
「あついな。身体。」
私の頰に大倉くんの手の甲が触れて、綺麗な形の目が私をじっと見つめる。
付き合い始めてからもうだいぶ経つのに、私は今でもこういうとき大倉くんに見つめられるのが弱い。
恥ずかしくてすぐそらしたくなるのに、大倉くんはなかなかそらさせてくれないから。
それから、大倉くんの指がいつものように私の前髪をよけると、大倉くんはマスクを顎まで下げて私の額に唇を押し当てた。
つめたくてやわらかい感触。ゆっくりとした息づかいをすこしだけ額に感じた。
私に視線を戻すと、身体が全部溶けてしまいそうなやさしい目で得意げな笑みを見せるから、私は無意識に大倉くんの手首を掴んでた。
「もういっかい。」
全部、熱のしわざにすればいいや。
そんななげやりにも思える気持ちで男のひとらしい乾いた手のひらに自分の手を重ねながらねだる。
大倉くんの唇がもう一度額に触れた。今度はわざとちいさくキスの音をさせて。
さっきより、熱を持っている気がした。
分厚い胸に頭を預けると不思議なくらい睡魔が急に襲ってきて目をつむった私に、なあって、ささやくみたいに大倉くんが私に言う。
「もっと甘えてよ。」
つぶやかれた言葉と頭のてっぺんに触れた唇に答える代わりにもうすこしその胸に額を寄せた。
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蒼 夢見子(プロフ) - 璃実さん» 璃実様、お返事が遅くなってしまいごめんなさい…！ただのいちファンとしての勝手な主観ですが、大倉くんの強さややさしさを描けたらなと思いながら書いていたお話なので、そう言っていただけてほんとうに嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございました^^ (2023年3月4日 22時) (
レス) id: 4e57835bcc (このIDを非表示/違反報告)
璃実(プロフ) - 沢山の人から生真面と言われてきたので主人公とどこか重ねて読んでいました。私がそうであってほしいと思う大倉くんと、きっとほんの一部ではありますが私が見てきた大倉くんを形にしたのもがまさに夢見子さんの描く大倉くんでした。素敵なお話をありがとうございます。 (2023年2月19日 23時) (レス) @page23 id: 096fac2c00 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 日玖さん» 日玖様、最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。そのようなことを言っていただけて私もしあわせです……少しでも楽しく読んでいただけていたらそれだけでもうとても嬉しいです^^ありがとうございました…！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 美波さん» 美波様、あたたかいコメントいただけてとてもうれしいです…（涙）お話を書くのは自己満足のためとは言え、読んでくださる方がいてこそ最後まで書くことができたと思っています。こちらこそ心から感謝です……本当にありがとうございました！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
日玖(プロフ) - 完結おめでとうございます。ほんっとうに物語に引き込まれっぱなしで、読んでいる時間いつだってとても幸せでした…！素敵な作品を、ありがとうございました。 (2022年3月9日 22時) (レス) @page23 id: bbffd7f7da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年7月16日 0時
