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「何度？」
「やっぱりうつったら嫌だからマスクして。」
体温計を大倉くんに見せながら、枕元に置いてあったマスクの入った箱を差し出した。
熱は昨日よりは下がったけど、まだ頭はいくらかぼうっとするしこめかみに鈍痛も覚える。
「えー、暑いやん。」
嫌やって顔をしかめた大倉くんに、
「大倉くんだって身体そんなに強くないでしょ。」
そう指摘すると「うるさい」ってわざと不機嫌そうな顔をして鼻をきゅっと指でつままれた。大倉くんの指がひんやりとつめたく感じる。
「なんか久しぶりやな。」
結局、渋々とマスクをつけた大倉くんはじっと私を見てから目を細めた。
「…なにが？」
「ボロボロのAちゃん見るん。」
とても愉快そうに、そう言った。
それがあまりにもいつも通りの大倉くんで私はなんだか泣きそうになる。
大倉くんがいてよかったと心の底からそう思う。それはもう、出会ってから何度も思ったことだけど、何度も繰り返ししみじみと思ってしまう。
「痛そ。」
私が泣きそうになっていることなんて知らずに、大倉くんは私の腕にできた転んだ時のすり傷を絆創膏の上からそっと触れた。
「痛かった。」
子どもじみた言い方になってしまったけど、そんなのを気にすることもなく、子どもじみた顔で大倉くんを見上げた。
「すごい派手に転んだから、痛かったし恥ずかしかった。」
「かわいそうにな。」
ふふってマスク越しにやわらかい笑い声がする。私はもっと胸が苦しくなる。熱ですこし、いつもよりふわふわとしていた。
「大倉くんがいなかったからだと思う。」
私の腕に触れてた大倉くんの指先に手探りみたいに触れてみると、やっぱりつめたい。
「ツイテないことばっかり起こったの。」
ちょっとばかみたいにも思えるけど、でも、多分ほんとうで。
大倉くんがいると不運なことがなくなるというよりは、大倉くんがいてくれると不運なことも不運に思えなくなるのかもしれない。あっという間に忘れちゃうのかも。
熱っぽい頭でそんなことを考えた。
そしたら、突然私が触れていた大倉くんの指が私の指に絡まって、大倉くんのおおきな身体が私のとなりに沈んだ。
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蒼 夢見子(プロフ) - 璃実さん» 璃実様、お返事が遅くなってしまいごめんなさい…！ただのいちファンとしての勝手な主観ですが、大倉くんの強さややさしさを描けたらなと思いながら書いていたお話なので、そう言っていただけてほんとうに嬉しいです。最後まで読んでくださりありがとうございました^^ (2023年3月4日 22時) (
レス) id: 4e57835bcc (このIDを非表示/違反報告)
璃実(プロフ) - 沢山の人から生真面と言われてきたので主人公とどこか重ねて読んでいました。私がそうであってほしいと思う大倉くんと、きっとほんの一部ではありますが私が見てきた大倉くんを形にしたのもがまさに夢見子さんの描く大倉くんでした。素敵なお話をありがとうございます。 (2023年2月19日 23時) (レス) @page23 id: 096fac2c00 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 日玖さん» 日玖様、最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。そのようなことを言っていただけて私もしあわせです……少しでも楽しく読んでいただけていたらそれだけでもうとても嬉しいです^^ありがとうございました…！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 美波さん» 美波様、あたたかいコメントいただけてとてもうれしいです…（涙）お話を書くのは自己満足のためとは言え、読んでくださる方がいてこそ最後まで書くことができたと思っています。こちらこそ心から感謝です……本当にありがとうございました！ (2022年3月13日 17時) (レス) id: caebde5a3d (このIDを非表示/違反報告)
日玖(プロフ) - 完結おめでとうございます。ほんっとうに物語に引き込まれっぱなしで、読んでいる時間いつだってとても幸せでした…！素敵な作品を、ありがとうございました。 (2022年3月9日 22時) (レス) @page23 id: bbffd7f7da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年7月16日 0時
