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「こんなん訊くん野暮かもしらんけどさぁ……大倉と、なんかあったん？」
うすい湯気と熱気の向こうにいる安田くんは、困ったような顔をした。
「え…？」
目の前の鉄板に広がるもんじゃ焼きをつついていた私は、安田くんの言ったことははっきりと聞こえたけど反射的にそう訊き返してしまう。
私を取り囲む空気はすこし煙たくて香ばしい。
「いや、なんとなくそう思っただけなんやけど…僕の勘違いやったら気にせんといて。」
困り顔のまま微笑んで、チューハイが注がれたジョッキ――鉄板のすぐ近くに置いてあったから、汗をたくさんかいていた――を手を取った。
安田くんは温厚で穏やかで、それからすこし抜けているようなところがあるけれど、だけど他人の些細な変化や感情を察する鋭敏なところがあることはわかっている。
だから、嘘をつく意味があまりないように思えた。
それから私も、多分、すべてを自分の中に押し込めておくのにすこし疲れていた。要するに誰かに話したかったのだ。
「…私が、悪いの。」
もんじゃ焼きをつついていた手を止めて、ぼそりとそう呟くと安田くんの視線が私に移ってきたことを感じた。
「大倉くんは怒って当然だし、私が大倉くんの立場でも多分、怒ってると思う。」
ずるい言い方をしているという自覚はある。
安田くんは切れ長の目でやさしく私に視線を送り、何も言わずに話を聞いてくれようとしていた。
だから、私はちょっとだけ頭の中で考えて(何をどこまで話すのか、どこまで口にしていいのか、なるべく冷静に。)、それからできるだけ丁寧に完結に安田くんに説明しよう。と思った。
安田くんに話したことはおおまかに分けてみっつ。
久美ちゃんが大倉くんに気があるということを私は久美ちゃんと出会ってからわりとすぐ知っていたこと。
それで、私は久美ちゃんのことが好きで大切だから、そこに悪気がなくとも彼女の恋の邪魔はしたくないこと。(大倉くんと『同じ会社のひと』ではなく友達としていると、久美ちゃんを不安にさせたり傷つけてしまう可能性があること。)
それとあと、あの日、大倉くんにああ言われて、つい言い返してしまったこと。
すべて、嘘ではなく真実だけれど、でも言うべきでないと思ったことは省いた。
例えば、私が大倉くんのことを好きだとか、そういうことは。
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蒼 夢見子(プロフ) - らてさん» らて様、初めまして。そう言っていただけてとてもうれしいです…！ありがとうございます！以前に比べると書くスピードが遅く滞りがちですが新しいものも完結できるよう頑張ります…！！ (2021年2月8日 20時) (
レス) id: 3ff9e3c936 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - はじめまして。蒼 夢見子さんの書く文章、表現、言い回し、描写がとても好きです！素敵なお話をありがとうございました。新作も楽しみにしております！ (2021年1月26日 13時) (レス) id: d5862e85a0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、読み返していただけるなんてありがたすぎます…！ありがとうございます（涙）たいしたものではないのですがすこしずつ書き留めていてきちんと清書できたら公開しようかなと思っています。いつになるかわかりませんが気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (2019年4月9日 20時) (レス) id: 5ab3a36ba5 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - 久しぶりにキュンキュンしたくて読み返しました。何度読んでも素敵です！続きが下書き中になっていたのですがまだ続きがあるんですか？もしあるのならばすごく楽しみです(≧∇≦) (2019年4月9日 18時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - ちいさん» ちい様、きゅんきゅんしていただけてとっても嬉しいです…！いつになるかはわかりませんが、私も是非またふたりを描けたらいいなと思っているのでその時には読んでいただけるとありがたいです^^ (2019年2月4日 19時) (レス) id: 0c7f8e1b68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年1月5日 23時
