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孤独を免れたとしても、結局はまた他人を傷つけて他の何かに怯えることになってしまいそうで。そうしたらきっと私はまた私自身を、私の人生を厭うことになるだろう。
それならいっそ、孤独のほうがいい。私には結局、こっちの方が似合っているのかも。
――山田さんはもっと、自由に生きていいんやで。もっと、わがままんなり。自分にも、他人にも。
安田くんはそう言った。
そう言って、私の頭をぽんぽんと二度ほど、やさしく叩いてそれからまた、笑った。
その笑顔が今度はすこしだけ、さみしそうで私はもう胸がいっぱいだった。
私は絶対、絶対に、安田くんのことを忘れない。
こんなにやさしいひとがいることを私は絶対に。
だから私は次に好きになるひとに出会うまで、さみしくても我慢しよう。さみしくても。
大丈夫。大丈夫だよ、きっと。
膝の前で組んだ手をぎゅう、と握りしめた。満月の光が私の爪の表面にあたってきらきらとしている。
――まあそのうち、なんとかなるんとちゃうん？わからへんけど。
いつだかの大倉くんの無責任な言葉。
満月を見ながら私は遡ってしまう。そんなことしたらもっと苦しくなるのはわかっていても。
大倉くんとこの屋上で、初めて会った時のこと。
なんて不躾で傍若無人なんだろう、と私あの時、大倉くんのことをとても、嫌っていた。
それから、ホーリーが来てふたりと一匹でここで過ごした時間。
大倉くんはホーリーを誘拐してしまおうか、なんて物騒なことを言って。
亮のことでいつまでも傷ついている私を、大倉くんはいつだって呆れたように笑うからなんだか、赦されるような気持ちになったんだ。
ボーリングに行ったことも、焼き肉を食べたことも、大倉くんがやさしく抱擁してくれたことも。
風邪を引いた大倉くんが、熱い手で私の手を掴んだことも。
いろんなことがあった。
数えきれないくらい、救われてきた。
大倉くんの眼差し。それから、やさしさ。
きっとでも、そんなことも、死ぬ前にはひとつやふたつしか思い出せない。きっと。きっとそうなるはず。
だから。ねえ。
泣かないで。
泣かないで、私。
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蒼 夢見子(プロフ) - らてさん» らて様、初めまして。そう言っていただけてとてもうれしいです…！ありがとうございます！以前に比べると書くスピードが遅く滞りがちですが新しいものも完結できるよう頑張ります…！！ (2021年2月8日 20時) (
レス) id: 3ff9e3c936 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - はじめまして。蒼 夢見子さんの書く文章、表現、言い回し、描写がとても好きです！素敵なお話をありがとうございました。新作も楽しみにしております！ (2021年1月26日 13時) (レス) id: d5862e85a0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、読み返していただけるなんてありがたすぎます…！ありがとうございます（涙）たいしたものではないのですがすこしずつ書き留めていてきちんと清書できたら公開しようかなと思っています。いつになるかわかりませんが気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (2019年4月9日 20時) (レス) id: 5ab3a36ba5 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - 久しぶりにキュンキュンしたくて読み返しました。何度読んでも素敵です！続きが下書き中になっていたのですがまだ続きがあるんですか？もしあるのならばすごく楽しみです(≧∇≦) (2019年4月9日 18時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - ちいさん» ちい様、きゅんきゅんしていただけてとっても嬉しいです…！いつになるかはわかりませんが、私も是非またふたりを描けたらいいなと思っているのでその時には読んでいただけるとありがたいです^^ (2019年2月4日 19時) (レス) id: 0c7f8e1b68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年1月5日 23時
