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自惚れるわけではないけれど、安田くんが私に好意を抱いてくれていることには、なんとなく、気づいていた。
――でも、好きになりたいの。安田くんのこと。
昨日、「ヤスって、たまにめっちゃ男見せるよな」と独り言のように、うっすら笑って言った大倉くんに対して私は確かにそう言った。
大倉くんに、というよりも、いい加減嫌気がさしている自分自身に。
このままでは亮のときとまるで何も変わらないままだと思った。
あたらしい恋を始めるには、待っているだけではどうにもならなくて。しあわせになるためにはそれなりの努力が必要で。指を咥えて突っ立っているだけでは、だめなのだ。そんなこと、赤ん坊でもできるんだから。
「僕は山田さんが好きやで。」
安田くんは、とても潔かった。びっくりするほど清々しくきっぱり、私にそう言った。
くもりのない澄んだ瞳がすこしも動かず真正面から私を見ている。はっきりしていて凛としているのに、やさしくてあたたかい安田くんの瞳。
昨日、家に帰ってからすぐ安田くんからは連絡をもらって今日の仕事後に会うことになっていた。
場所は、駅の近くの喫茶店で、店内はすこし薄暗くて煙草とコーヒーのにおいがする。
金曜日の夕飯時に喫茶店に来るひとがすくないことを私は今日、初めて知った。
「なんとなく、山田さんが大倉んこと好きなんは知っててん。」
安田くんはアイスコーヒーの入ったグラスに一瞬視線を落として微笑む。
「でも、小松原さんが大倉んこと好きやって前から知ってたから隠してんねやろ？」
それから、眉毛を下げて私を見た。私は何も言えずさぞかし情けない顔をしているんだろう。
「そんなん、山田さんが我慢することとちゃうんやない？好きになるのに先着順とか、そんなんないし、大切なんは大倉の気持ちやん。やさしすぎるわ。」
やさしく、なだめるような口ぶり。
そうかもしれない。それは、そうなのかもしれない。でも。
「やさしいわけじゃないよ。私は。」
やさしさで自らこうしているわけじゃない。
アイスコーヒーをひと口飲んで、それから私は話した。
この間安田くんに話したことの中にあった、私がわざと省いた部分。亮のことから、ていねいに。焦らないように。
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蒼 夢見子(プロフ) - らてさん» らて様、初めまして。そう言っていただけてとてもうれしいです…！ありがとうございます！以前に比べると書くスピードが遅く滞りがちですが新しいものも完結できるよう頑張ります…！！ (2021年2月8日 20時) (
レス) id: 3ff9e3c936 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - はじめまして。蒼 夢見子さんの書く文章、表現、言い回し、描写がとても好きです！素敵なお話をありがとうございました。新作も楽しみにしております！ (2021年1月26日 13時) (レス) id: d5862e85a0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、読み返していただけるなんてありがたすぎます…！ありがとうございます（涙）たいしたものではないのですがすこしずつ書き留めていてきちんと清書できたら公開しようかなと思っています。いつになるかわかりませんが気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (2019年4月9日 20時) (レス) id: 5ab3a36ba5 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - 久しぶりにキュンキュンしたくて読み返しました。何度読んでも素敵です！続きが下書き中になっていたのですがまだ続きがあるんですか？もしあるのならばすごく楽しみです(≧∇≦) (2019年4月9日 18時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - ちいさん» ちい様、きゅんきゅんしていただけてとっても嬉しいです…！いつになるかはわかりませんが、私も是非またふたりを描けたらいいなと思っているのでその時には読んでいただけるとありがたいです^^ (2019年2月4日 19時) (レス) id: 0c7f8e1b68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年1月5日 23時
