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大倉くんがポストの中身を取っている間だって、私はそこに立ったままで、
一体、何を待っているんだろう。なんで待っているんだろう。って。
「じゃあ…私いくね。カラオケ、楽しんで。」
だから慌てて手に持った封書やダイレクトメールなんかを見ながらポストを閉めようとしてた大倉くんにそう言って、逃げるみたいに家に帰ろうとした。
それなのに、
「待って。」
ほとんど飛びつくみたいな勢いで大倉くんは私の腕を掴んできて、私が歩き出すのを阻止したのだ。
ぱさり、と乾いた音を立てて大倉くんが脇に挟んでいた封書がひとつ、下に落ちた。
「水臭いやん。」
私を引き留めた手はもう、私の腕から離れていたけれど、大倉くんは私を解放してくれはしない。
ほんのすこし不機嫌そうな表情と声。それから視線。
「…何が？」
「ヤスとそういう風になったんやったら、教えてくれたってええやろ。俺やって一応、亮ちゃんのこととかいろいろ話聞いてたんやからさ。」
そう言って唇を尖らせた。
「…そういう風って、」
「堂々とキスしてたやん。さっき。」
大倉くんは、私から目をそらしてそれから、地面に落ちた封書を拾い上げる。
「…ちがう。そういう風とかそういうんじゃなくて。あれは。」
頭の中が、ぐちゃぐちゃだ。
まっしろなのに、ぐちゃぐちゃ。
息継ぎが上手にできなくて、言葉がいっこうにでてこなくてだけど一生懸命言葉を探そうとしていた私を大倉くんは笑った。
「なにテンパってんの。」
ふっ、と口角をあげて。からかうみたいな、だけどつめたいみたいな。
「付き合ってないよ。安田くんとは。」
やっと口にできたけれど、私は満足しなかった。
よくわからなかったから。どうして私はこんなに必死なのか。わからないことだらけだ。
「…え…そうなん？」
大倉くんは私の言葉にもう一度私を見て、眉毛をあげる。
「一方的ってことな。俺の早とちりやったわ。」
「恥ず…」と指で鼻を触る大倉くんに私はまた安堵した。
それが、とても嫌だった。煮え切らずぐずぐず燻っているおろかな自分がよくわかって。
とても、嫌だったんだ。
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蒼 夢見子(プロフ) - らてさん» らて様、初めまして。そう言っていただけてとてもうれしいです…！ありがとうございます！以前に比べると書くスピードが遅く滞りがちですが新しいものも完結できるよう頑張ります…！！ (2021年2月8日 20時) (
レス) id: 3ff9e3c936 (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - はじめまして。蒼 夢見子さんの書く文章、表現、言い回し、描写がとても好きです！素敵なお話をありがとうございました。新作も楽しみにしております！ (2021年1月26日 13時) (レス) id: d5862e85a0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - まゆ☆まゆさん» まゆ☆まゆ様、読み返していただけるなんてありがたすぎます…！ありがとうございます（涙）たいしたものではないのですがすこしずつ書き留めていてきちんと清書できたら公開しようかなと思っています。いつになるかわかりませんが気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (2019年4月9日 20時) (レス) id: 5ab3a36ba5 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - 久しぶりにキュンキュンしたくて読み返しました。何度読んでも素敵です！続きが下書き中になっていたのですがまだ続きがあるんですか？もしあるのならばすごく楽しみです(≧∇≦) (2019年4月9日 18時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - ちいさん» ちい様、きゅんきゅんしていただけてとっても嬉しいです…！いつになるかはわかりませんが、私も是非またふたりを描けたらいいなと思っているのでその時には読んでいただけるとありがたいです^^ (2019年2月4日 19時) (レス) id: 0c7f8e1b68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2019年1月5日 23時
