「ゆるやかに動きだす」 ページ39
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私が大倉くんの会社から正式に採用の連絡をもらったのは、面接の翌日のことだった。
ちょうど昼休み中で、自分のデスクでコンビニのおにぎりを食べながら引き継ぎの為の書類の整理と作成に勤しんでいた時、村上さんから電話がかかってきたのだ。
――上にも総務部にも話したんやけど、正式に山田さんを採用さしてもらいたいと思いまして。
村上さんからの電話だとわかって、携帯を耳に当て身を縮こめながらオフィスを後にしたけれど、その知らせに私は思わず「本当ですか？」と廊下で声をあげてしまいそうになった。
「年明けからよろしくなあ」と村上さんはとても朗らかな声で言ってくれて何度もお礼を言ってから電話を切ると、オフィスには戻らず外に出る。
空は秋晴れで、私は紛れもなくとても、とても晴れやかな気分になっていた。
こんなに嬉しいという感情を最後に抱いたのは思い出せないくらい前のことで、新鮮に思えて、それがまた可笑しい。
そしてたっぷり喜びを感じながら、私の指はひとりでに彼に連絡をしていた。
『採用のご連絡いただきました！』
勢いあまって送ってしまったそんな、浮かれているのが丸出しな連絡にすぐに『よかったやん』と返事がきて、『ありがとう』って返信すると、
『恩人やな俺』『焼肉くらいで全然いいから』って。
実に、大倉くんらしい返事に私は呆れながらちいさく笑ってしまう。焼肉くらい安いものだなとすら思える。私はご機嫌だった。
停滞したまんま、ずっと動かないのではないかと思っていた時間がゆるやかに動きだした気がした。
気づいたら底なし沼だった孤独の底がすこしだけ見えるようになっている気がした。
もうすこし、生きてみるのも悪くない。
亮の友達の大倉くんと出会って3か月。
私の人生は思わぬ方向へと進みはじめていた。
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蒼 夢見子(プロフ) - すぅさん» すぅ様、初めまして。コメントありがとうございます^^私には勿体無くも有難いお言葉いただけてとても嬉しいです（涙）これからも楽しんでいただけるものを書けるよう頑張ります！ (2018年12月3日 11時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
すぅ(プロフ) - こんばんは。今まで読んできた小説のなかで一番素敵な物語です。これからも応援しています (2018年12月3日 0時) (レス) id: 6e6892a55b (このIDを非表示/違反報告)
蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、こんにちは。こちらにもコメントいただけてとっても嬉しいです...（涙）この間とはすこし違ったいたずらで甘い大倉くんを書きたいなーと思い書き始めました。そう言っていただけると俄然執筆への意欲が湧いてきます！ありがとうございます^^ (2018年11月21日 10時) (レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - こんにちは！こちらのお話にもコメント失礼します。優しいんだか冷たいんだか分からない大倉くんとっても魅力的です好きです（；＿；）ヒロインちゃんが幸せになれることを密かに願いながら応援しております、、、！ (2018年11月21日 0時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年11月13日 22時
