04.一年生 ページ6
「明日、澤村にも言うけど、塾の模擬とか色々増えるからたまに練習とか早退しちゃうかも。ごめんね」
「おっけー……って、そんな日程入ってるんだ」
「うん」
高校三年生。それは、イコール受験生。
部活だけじゃなくて、進路にも目を向けなければいけない時期だ。
人生は大学で決まるとか、よく言うじゃん?
でも、私は人生が決まるか云々よりも、自分が『大学に受かった』という達成感のほうが大事だ。
そのために部活の時間けずってまで塾に通っているのだから。
「……そっか、受験かあ」
「そうだよ、受験だよ。部活もいいけど、その分勉強時間とかちゃんと確保しときなよ?」
「ははっ、先生みてぇ。やっぱ先生になれば?」
「えーやだよ……。私、他の人に『顔が怖い』って言われたり、怒ってもないのに『怒ってるの?』とか訊かれるような人だよ? 子供の相手なんかしたら怖がられて『超怖い先生』っていうレッテル貼られそう」
「それは浦塚がもうちょい表情豊かになればいいだけの話。はい、解決!」
「……。でも、ぶっちゃけ先生に向いてるのは菅原のほうでしょ」
眉間に皺を寄せながら私が言うと、菅原は目を丸くして「そう?」と言ったので、それに頷く。
「うん。向いてると思う。……なんとなく」
「なんとなくかよ」
「なんとなくだよ」
ただの直感。
なんとなく、向いてそうだなぁって思っただけ。
「バレーできるの、今年が最後なんだな」
そう呟いた菅原の声には聞こえないふりをして、私は自分の足元をじっと見つめていた。
*
「あれ? 新入部員の一年は? 入部届け来てたんでしょ?」
待ちに待った入学式の日、部活に行くと初々しい一年生の姿はどこにもなかった。
「……あーっと」
「追い出した」
「ハイ??」
言葉を濁している菅原に被せるように澤村が爆弾発言を投下する。
追い出した? 誰を? ……。
「一年!? 追い出したの!? なんで!? 潔子が預かってた入部届け見たけどさ、あの子いたじゃん、北川第一のセッター!」
去年、澤村と菅原、そして田中と見に行った中学生バレーの大会。
初戦、雪ヶ丘中学校との対戦で見たすご腕の影山飛雄っていうセッターがいた。
雪ヶ丘にもエグい身体能力持ってる小さい子がいたけど。
「なんか、お互いをチームメイトとして自覚するまでは入れないってさ」
「……お互い……??」
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昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありです! 烏野大好きです……。おまけ話みたいになるんですけど、浦塚さんはお勉強をよくしているので甘党という設定になっていて、それゆえに悩みがあんなエグいことになっています() (2021年9月3日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - コメント遅れたけど、烏野メインは最高です昆布様。あと、浦塚さん.....ココアにキットカットは流石に甘すぎるのでとりあえずヤバイっす。 (2021年9月3日 22時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年5月4日 8時