真珠の如く消えてしまえばいいのに。【鬼滅の刃】

07.雪の呼吸を扱う雪柱 ページ9

速度をあげて走り進めると、先程の隊士と鬼が見えたが、私が飛ばした斬撃をぎりぎりで避けた。


「……！」


あの体でまだ余力が……。
あの子、階級なんだろう……。


『確か、新人の癸の隊士も数名送られてきたんですっけ？』


「……癸？」


常中を可能にしていない体、育ちきっていない肉体。あの子が……。



まあ手加減なんかしないけど。

まず、鬼をあの子から離さなければ。
すこし可哀想だが、かかと落としとかして気絶でもさせれば……。

すると、若干斜め上に私達以外の気配を感じ、上を見てみるとカナヲちゃんがいた。

しのぶさんの手配か。


カナヲちゃんに任せてもいいかな……。


速度を落とすと、先にカナヲちゃんがあの子に追いつき鬼を斬ろうとしたが、諦めの悪いあの隊士はカナヲちゃんの羽織を引っ張った。


「禰豆子逃げろ！絶対捕まるな！！」


……あの鬼、よく見たら口枷してる？
なんで……。


考えている間にあの子は見事にカナヲちゃんにかかと落としを喰らってしまい気絶してしまった。


「あらら……」


ふわっと隊士に近付く。
よく見てみると、かなりひどい怪我を負っている。


「雪柱あろう者が、あの程度の鬼を逃がして鬼を連れた剣士の手当をするとは……」


やはり上弦と戦ったあの日から、確実に筋肉などの衰えが生じている。

そんな自分の不甲斐なさを悔しく思いながらも、毎日のように装備している包帯を取り出して怪我の応急処置をする。


『妹を連れて逃げろ』


鬼になった妹……か。
もし、目覚めた後に、その妹が死んだと、殺されたと聞いたら……この子はどう思うだろうか。

鬼ではなく……私達を恨むことになってしまうだろうか。

いやいや鬼如きに私は何を考えて……。

隊士の額の血を手拭いで拭おうとすると、複数の鎹烏の鳴き声が聞こえた。


「伝令ーッ伝令ーッ！！鬼ヲ連レタ隊士、竈門炭治郎！少女ノ鬼、禰豆子！！拘束シ、本部へ連レ帰ルベシ！！」


驚きのあまり、夜空を飛ぶ鴉をバッと見上げた。
殺すんじゃなくて拘束して連れ帰る……。


「炭治郎、市松模様ノ羽織リ、額ニ傷アリ！！竹ヲ噛ンダ少女ノ鬼、禰豆子！！」


鴉が言っていた少年の特徴と同じ目の前の隊士に視線を戻す。
額に傷あり……。

血を拭おうとしていた手を引っこめる。

処置をしていて気づいたが、これ下顎の骨われてる……。

可哀想に思えてくるが、私はお館様の屋敷へ行かなければいけない。またあとで会うだろうし今は隠に任せよう。

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