29.炎と雪 ページ31
「雪柱!任務ダ!」
意外にも鬼を連れた隊士、竈門炭治郎くんとの話が盛り上がっていたところで鎹烏が騒がしく任務を告げる。
「あ……そろそろいかないと」
人を偏見で判断してはいけないと今日思い知った。
竈門炭治郎というのはこんなにもいい子ではないか。
「じゃあ。頑張ってくださいね」
「はい!」
いい返事を返す炭治郎くんに笑いながら、佑に一声かけて蝶屋敷を出る。
「……で、今回はどんな任務?」
「エーット……ア!アイツ!」
「ん?」
鎹烏が羽で指(?)指したその先にいたのは、
「煉獄さん……?」
「A!よもやよもやだ。これから無限列車というところの任務でな」
無限列車……。
「確か、隊士たちを送ったけど全員消息を絶ったという……」
十二鬼月がいるかもしれないと噂になっていた例の列車か。
「もしかしたら他の柱も派遣されるかもしれませんね。絶対私ではないと思いますけど」
「そうだな。初めての合同任務の大失敗から俺とAの合同任務は頑なに行われていないし!」
「そんな黒歴史掘り起こさなくていいですから!!」
煉獄さんが柱になったばかりで、私がまだ一般隊士の階級丙だった頃の合同任務での大失敗はまた別のお話。
「同じ炎経由の呼吸なのに、死ぬほど相性悪いですからねぇ。私たち」
そう。私の雪の呼吸は初見ではわからないが、元は炎の呼吸からの派生。なのにも関わらず、私の性質が真反対だったのが幸にも不幸にも煉獄さんとの呼吸の相性に何一つあわない。
「炎の派生とはいえ、そもそもAの適性が炎ではなかったのだろうな!雪の呼吸は炎の呼吸の面影もないほど変化しているし!」
「それなら恋の呼吸だってそうじゃないですか?」
「確かにな!」
煉獄さんの元継子である現在の恋柱、甘露寺蜜璃さんが使う恋の呼吸も炎の派生だが、どうにも炎の派生には見えない。
オリジナリティがありすぎて独立したそうだ。
まあ、私の雪の呼吸と比べたら、まだ炎に近い方か。私なんて正反対の呼吸になっちゃったし。
「ではな、A!」
そのまま煉獄さんは背を向けたけど、何故か私は嫌な予感がした。すべてが崩れるような、そんな予感が。
気付けば私は煉獄さんの羽織の裾を汗ばんだ手で掴んでいた。
「っ、いかないで……」
不意に出てきた言葉に自分でも吃驚した。鬼殺隊なのに、柱なのに。
煉獄さんは笑顔で私の髪を撫でてから「大丈夫」とだけ言って任務へ向かってしまった。
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鮭大根大好き - 我妻レイさん» 半天狗の玉壺,,,上弦の壱弐参と並べたら,,,はい笑← (2020年11月12日 20時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(サブ垢)(プロフ) - 我妻レイさん» ありがとうございます。更新がんばりまっす! (2020年11月3日 10時) (レス) id: 4ec626281e (このIDを非表示/違反報告)
我妻レイ - 確かに笑敵枠としては重要キャラかもしれませんなぁ…!!絶対伍はもう外見がいかにも敵です!っていうキモさだもんなぁ(失礼)はは…更新ファイトです! (2020年11月2日 21時) (レス) id: 652a598782 (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - 我妻レイさん» 肆と伍は過去も同情できるようなキャラではないですからね……。でもあの歪んだ性根は敵枠としては好きですw 推しにはできませんが……() (2020年11月2日 12時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
我妻レイ - 鬼滅の刃って嫌いな人が少ないんですよね…みんな嫌いになれないっていうか…あ、ただし上弦の肆上弦の伍お前らはダメだ。 ……はい!、更新頑張ってください(*^^*) (2020年11月1日 23時) (レス) id: 652a598782 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年10月25日 22時