真珠の如く消えてしまえばいいのに。【鬼滅の刃】

20.継子・翼海瀬 佑 ページ22

「師範〜！！もう無理でず〜！！」


「え〜……」


翌日の昼間。泣きべそをかいてドサッと屋敷の庭に倒れ込む小柄な女の子。
少しくせのかかったふわりとした髪の毛が特徴的なこの子は私の継子の翼海瀬 佑。

ちなみに、読み方は『翼海瀬(よくみせ)佑(ゆう)』。


「まだ始まったばかりだよ」


促すように、竹刀を肩でトントン動かすが佑はキッと私を睨んで「師範は人間じゃないからそんなこと言えるんですよ！！」と叫んだ。


「私も立派な人間だから」


「信じないッ。私は信じないッ！！」


伊黒さんのようなことを言ってからまた「うわあああん！！」と地べたに転がって子供のように泣きわめく佑。

確かな実力はあるのに、この子は諦めが早いから……。


「佑〜……。前に私が上弦と戦った時にわかったでしょ？柱っていっても、いつまでも死なないわけじゃないんだよ。寧ろ、危険な任務をこなす柱こそ、明日生きていられるかわからないんだから」


「やっぱり私には無理だったんですよ！！師範！！なんで私を継子なんかに選んだんですか！？だって一年前に師範が柱になったばかりの任務で……」


「はいはい、無駄口叩くほどの元気があるなら鍛錬しようか。ほら、竹刀持って立って♡」


「ヒドイ！！」


私だって別に虐めたくてこんなことをしているわけじゃない。
鬼殺隊の質が衰えている今、柱を継ぐ若手の育成は必要不可欠。

佑は数少ない実力のある隊士。
そして、彼女もまた最愛の肉親を鬼の手によって殺されている。


私が死んでも大丈夫なように、
家族を殺した鬼を前にした時、ちゃんと相手ができるように、育てるのが私の役目。


「うう……育手のばっちゃんよりキツい……」


佑は育手の方もすごく厳しい鍛錬を要求してくる人だったらしい。
佑は完全に落胆気分。さて、どうしたものか……と考えているうちに私の頭に電流が走った。


佑は甘いものが大好きな鬼殺隊の甘党代表……で、あれば。


「佑。私と戦って一回でも竹刀を私に当てられたら甘味処に連れてってあげるよ？“私の奢りで”」


「うおおあああ！！やるぞぉぉぉぉ！！」


メラメラと燃え始めた佑。


(ちょろいな)




───────
佑さんの呼吸は炎の呼吸です。
意外に思われるかと思いますが、雪の呼吸は炎の呼吸から派生した呼吸です。
Aさんも元は炎の呼吸の使い手でしたが、体に確実に適性とは言えず、形を転換させて雪の呼吸を編み出し、雪柱を名乗るようになりました。

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