01.任務のひととき ページ3
*
───────……見覚えがあると思った。あの鬼に。
「イタタ……」
「少し我慢してくださいね〜」
あの夜の任務で気を失った私が目覚めたのは蝶屋敷で、隠が運んできてくれたらしい。
蟲柱の胡蝶しのぶが、消毒液を染み込ませた布を私の頬にあてる。優しくしてくれているが怪我が酷いので傷口に染みてちょっと、いや、かなり痛い。
「それにしても、上弦の参だったそうですね。単独任務で遭遇して生きて帰ってくるなんて……。たとえ頸を斬れなかったとしても凄いことですよ。これは」
「う〜ん……」
私が眉を下げると、しのぶさんが「何か気になることでもあるんですか?」と顔を覗く。
「なんていうか……手加減されていた感じが否めなくて……。敢えて殺さない。必要最低限、怪我は負わせない。みたいな感じで戦われてた気がします」
手加減されていたにも関わらず倒せなかった、となれば正直、柱としても不甲斐ないばかりだが、どうしても鬼側が本気を出していなかった感は拭いきれない。
「もしかして、鬼に気にいられちゃったんじゃないですか?」
「そんなことは流石にありえないですって!
……ていうか、逆に嫌われてた感じしかしないし。だって……」
「だって?」
私はこの前の戦闘のことを思い出す。
だって……
「あの鬼、私の顔みた瞬間に青筋たてて……いらいらとした顔してました……」
もう今すぐにでも、
『俺を見るな』
『消えろ』
『視界に入るな、立ち去れ』
更に、ぶっちゃけ『死ね』とでも言ってしまいそうな顔だった。あれは風柱よりも酷い顔だった。
「すこしだけ不死川さんの株が上がった気がします」
「あら、それは何より。だけど……」
しのぶさんが言いかけたその時、「胡蝶!失礼する!」と元気のいい声が飛んできた。
「……あっ、煉獄さん!」
パァっと傷口が癒されたような気がした。
「まったく、自他共に認めるバカップルですねぇ。
あなたたちは……」
しのぶさんには苦笑されたが、私にとって任務で傷ついた体を癒す一番の方法は、あなたの元気の姿を見ることだった。煉獄さん。
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鮭大根大好き - 我妻レイさん» 半天狗の玉壺,,,上弦の壱弐参と並べたら,,,はい笑← (2020年11月12日 20時) (レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(サブ垢)(プロフ) - 我妻レイさん» ありがとうございます。更新がんばりまっす! (2020年11月3日 10時) (レス) id: 4ec626281e (このIDを非表示/違反報告)
我妻レイ - 確かに笑敵枠としては重要キャラかもしれませんなぁ…!!絶対伍はもう外見がいかにも敵です!っていうキモさだもんなぁ(失礼)はは…更新ファイトです! (2020年11月2日 21時) (レス) id: 652a598782 (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - 我妻レイさん» 肆と伍は過去も同情できるようなキャラではないですからね……。でもあの歪んだ性根は敵枠としては好きですw 推しにはできませんが……() (2020年11月2日 12時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
我妻レイ - 鬼滅の刃って嫌いな人が少ないんですよね…みんな嫌いになれないっていうか…あ、ただし上弦の肆上弦の伍お前らはダメだ。 ……はい!、更新頑張ってください(*^^*) (2020年11月1日 23時) (レス) id: 652a598782 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年10月25日 22時