真珠の如く消えてしまえばいいのに。【鬼滅の刃】

17.隠 ページ19

「ここにいる柱たちは当然抜きん出た才能がある。血を吐くような鍛錬で自らを叩き上げて死戦を潜り十二鬼月をも倒している」


証明されたことにはもう口を突っ込まない煉獄さんが「うむ！いい心がけだ」と称賛していた。


「だからこそ、柱は尊敬され優遇されるんだよ。
炭治郎も口の利き方には気をつけるように」


お館様のふわふわとした不思議な雰囲気と話し方に少年もすっかり取り憑かれてしまったのか素直に「はい」と答える。

そしてお館様は不死川さんと伊黒さんにも付け加え、


「それから、実弥、小芭内。あまり下の子に意地悪をしないこと」


と言った。
これまた二人も素直に返事をする。


「炭治郎の話はこれで終わり。下がって良いよ」


そろそろ柱合会議か。と思ったところでしのぶさんが手を挙げた。


「なら竈門くんは私の屋敷でお預かりしましょう」


「…………。え」


「はい、連れて行ってくださーい」


しのぶさんが二回ほど手を叩くと隠が二人出てきて鬼の女の子と竈門くんを連れていく。
それを見計らってお館様が柱に向き直る。


「では、柱合会議を始め……」


「ちょっ……と待ってください！！」


「え」


隠の手から抜け出し、凄い勢いで回れ右して戻ってきた竈門くん。
隠に連れ戻されようとされているが屋敷の柱に掴まって離さない。


「その傷だらけの人に頭突きさせてもらいたいです！！禰豆子を刺した分だけ絶対に！！」


傷だらけの人……不死川さんのことだろう。


(さっきもしてたじゃん……)


思わず引き顔をせずにはいられなかった。
私が同僚なのに猗窩座と戦うまで鬼より怖いと感じていた柱になんてことを……。

隠は「黙っとけ！！」と竈門くんを叩いている。


すると隣の時透くんが小さく手を動かしてジャリ、と音が鳴った。


「頭突きなら隊律違反にならない筈！！」


次の瞬間、小石が三発竈門くんの顔面にぶち当たる。柱の小石だよ……痛そう。

竈門くんが倒れたのを気にせず、時透くんは「お館様のお話を遮ったら駄目だよ」と小石にヒビを入れていた。


「申し訳ありませんでした、お館様！！」


「時透様！申し訳ありませんでした！！」


隠はすっかり怯えきり、ひたすらに謝罪する。


「早く下がって」


「はひっ……はいいい！！」


やっと隠が竈門くんを連れていき、姿が見えなくなると「柱すごく怖いんだよ！！」という泣き声が聞こえてきた……。

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