真珠の如く消えてしまえばいいのに。【鬼滅の刃】

12.善良な鬼、悪い鬼 ページ14

「だから……！！」


「オイオイ、なんだか面白いことになってるなァ」


少年。一番突破が困難な柱が来たぞ。


「鬼を連れた馬鹿隊員ってのはそいつかィ？」


声の主に視線を向けると、不死川さんが何やら鬼の気配がする箱を片手で持って立っていた。


「一体全体どういうつもりだァ？」


誰よりも鬼を滅する執念を持つ風柱・不死川実弥。

すると隠が「困ります、不死川様！どうか箱を手放してくださいませ！」オロオロと訴える。が、不死川さんはそんなのお構いなしだ。


「……不死川さん。勝手なことをしないでください」


何故か怒ったようにしのぶさんが立ち上がる。


「鬼がなんだって坊主？鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ？」


「そんなこたァなあ」と鼻で笑うように不死川さんが刀に手をかけた。


「ありえねぇんだよ、馬鹿がァ！！」


その瞬間、不死川さんの緑色に染まった日輪刀が血に濡れる。箱の中の鬼を刺したのだ。


「不死川さ……」


お館様が来る前に勝手に手を出すのはさすがにまずいと思い声をかけようとしたが、少年が青筋を立てて激怒し不死川さんの前に立った。


「俺の妹を傷つける奴は柱だろうがなんだろうが許さない！！」


不死川さんは刀を箱から抜いて「そうかィ、よかったなァ」と刀についた血を振り払った。

少年が不死川さんに真正面から向かっていき冨岡さんが「やめろ！もうすぐお館様がいらっしゃるぞ！」と珍しく声を荒らげ制止させようとしていたが少年は止まらない。

それと反対に不死川さんは「お館様」という単語に反応し対応が遅れ、



─────ゴンッ！


「……え」


「A。見るな」


煉獄さんにそう言われたが、まるで骨でも砕けてしまいそうな音。
少年が不死川さんに頭突きしたのだ。

冨岡さんに口を挟まれていたとはいえ、柱の中でも特に強い不死川さんに頭突きを……！？


「ブフッ」


驚いている私の横で甘露寺さんが不死川さんの珍しい姿に吹き出してしまう。


「すみません」


「善良な鬼と悪い鬼の区別もつかないなら、柱なんてやめてしまえ！！」


(少年！？不死川さんになんてこと言ってんの！？)


度重なる衝撃的背景にツッコミが止まらない。
どれだけ怖いもの知らずなんだ。
どれだけ肝が据わってるんだ！！


「テメェ……ブッ殺してやる」


不死川さんが少年に刀を突きつける。


「煉獄さん……あの人たち頭おかしいんだ……」


(よもや、まさかここまでとは……)

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