夏の終わり、幼馴染が彼女になった。

once again ２１ ページ24

A「ここまででいいよ」



透き通るような声でそう言った。



炭「……本当か？」



A「うん」



今にも消え入りそうだった。








A「ありがとうね、五日間」




A「大好きだよ」




……………………また涙の匂い…………





炭「…………A」



A「……………なに？」



子供のように首をコテンと傾けた。







炭「また…………………」




聞いて良いのかわからないけど




だけど聞かずにはいられなかった。





炭「また会えるか……？」




そう聞くと今まで何に対しても驚かなかったAの瞳が揺らいだ。


俺の手の中にあるAの手の力が抜けていく。





少し考える素振りを見せたAは俯かせていた顔を希望を見出したように俺を向いた。





A「いつか…………また


巡り合うことができたならね………」




まるで全てに満たされたかのような匂いだった。





A「………もう行って」




A「ありがとう………」




Aは俺の手を離した。






A「全うしてね。



ばいばい」




手を振りながらAは歩き出した。


こっちを振り返らずに。








俺は離れていくAを止めることができなかった。



だけど



だけどせめて






これだけは言わせてほしい









炭「A！！俺はっ…！！！」



耳は傾けているだろうけどAは立ち止まらない。








炭「ずっとAが好きだった！！！！」






＊





＊





＊




夢主side




炭「ずっとAが好きだった！！！！」



私は目を開く。






炭「ずっと」







炭「前から……！！！！」





私の頬を一筋の水が流れていく。



歯を食いしばって前を向く。






咳が出そうな喉を抑えて、息を大きく吸い込む。









A「私も！！！！」




愛しい人の顔を見ることはできなかった。


見たらこの場で声を上げて泣いてしまう。




貴方は優しいから




私に寄り添ってしまう。






それじゃいけないの。









A「ありがとう、私の好きな人………」





私はボソッと呟いた。









─────────────────さよなら

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