07.雷雨の音 ページ9
IH予選も無事終わり、誕生日の前の金曜日。その日は雨が凄かった。ちなみに男バレは安定に全国が決定したらしい。
「ひゃー、すごい雨」
「うん」
六時間目が終わったあと、藍莉と一緒に窓の外の大粒の雨を見る。時折、ゴロゴロ……という雷の音も聞こえる。
いつも絡んでくる角名君は宮治君と話してます。
「これ、帰れるんかなぁ……」
「さぁ。でもこれ電車止まりそう」
すると、教室のスピーカーからノイズ音のようなものが聞こえた後に、聞き慣れた教頭の声が放送で流れた。
『全校生徒に連絡です。これから雷雨が更に酷くなる模様ですので、生徒達はすぐに下校してください』
「……まあ、当たり前か」
こんな雷雨で部活なんかやったら言わんこっちゃない。
この放送が流れた直後、担任が教室に入ってきた。
「お前らー。HRやらないからさっさと帰れよー。電車止まるでー」
「えええ、満員電車確定やん」
藍莉がわかりやすく肩を落とす。確かにこの雷雨では、皆んな早く帰ろうと押し出すだろう。
「そういえば藍莉、今日は用事あるんとちゃう? 前言ってた気がするんやけど」
「あっ、そうやった! 家の手伝いしなきゃいけないんだ。ごめんなA、先帰るわ。Aも早よ帰り」
「急ぎすぎて足元滑んないでな」
「そんなドジせんわ!」
藍莉は鞄を掴むと私に軽く手を振って教室を飛び出した。本当に転ばないといいけど。
(今日はボッチ帰りかな……)
ボッチ帰り。なんか言うと悲しくなるからやめよ。
別にボッチじゃないし。今日はたまたまだし。
……それに、元々藍莉とは電車の方向が違うから、いつも駅までしか一緒に行かないし。
早く帰ろうと流れゆく皆んなについていって、私も教室を出た。
……否、出ようとした。
「ねえ、一緒に帰ろ」
「……角名君、え、あれ。駅同じだったっけ……」
さっきまで宮君と話していたはずの角名君が私の腕を掴んでいた。近くで立って見ると、やっぱり大きい。
「前、電車で見た。たぶん駅の方向同じ」
「嘘やん、全然気付かんかった」
「電車の中じゃいっつもイヤホンしてスマホ見てるもんね」
その通り、私は電車でスマホのリズムゲームをすることが一種の楽しみになっている。
「……方向同じなら、まあ……」
「ん。電車止まる前に早く行くよ」
「……うぃっす」
私と方向が同じ人に初めて出会った。そういえば角名君って標準語だったなぁって、今思い出した。
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昆布の神(プロフ) - ルナさん» 修正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2021年11月17日 15時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あの、37話の星裁のお母さんが「まあ、神社みたいな感じかな」と言っている場面があるんですけど、”感じ„が“漢字„になっていましたよ! (2021年11月17日 0時) (レス) @page39 id: d2a92b36ce (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありですー! 角名君いいよね……最高すぎる……。 (2021年3月31日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - もう神作よ…角名くんの言動が何もかも尊く見えるんだが…… (2021年3月31日 21時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 星猫さん» コメありです! 合作!? 是非ともお受けしたいです! お誘いありがとうございます! (2021年3月21日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年3月8日 23時