涼宮星哉の話 ページ45
中学二年生の冬。俺は死ぬ。
俺はその事実を物心ついた時からわかっていた。信じてもらえるかはわからないけど、本当だ。
でも、それを周りの人に言ったことはない。
周りの人には明るいキャラで通してたけど、(自分で言うのもあれだが)俺は内心では色々考えるタイプだし、元より中身は大人びていた。
だから、言っても誰も本気にしないってわかってた。
そんな俺が、唯一本心から話ができたのは、俺が小学一年生になる直前に死んだ俺のばあちゃん。
ばあちゃんは不思議な人で、色々な経験をしてきた人だ。
戦時中に愛人を亡くし、悲しみに暮れていた中である男性が寄り添ってくれて、その人と結婚して子供にも恵まれたが、その夫も病で早死にしてしまったらしい。
ばあちゃんは鈴の鳴るお守りを片時も手放さなかった。聞いてみれば、「これは近い未来、二つの家を繋いでもう一度引き裂くためのものなんだよ」って。
意味がわからなかった。繋がれたものを、どうして引き裂かなければならないのか。
ばあちゃんは死ぬ二日前に鈴の鳴るお守りを俺に渡して言った。
「愛はね、時には捨てないとだめなのよぉ。星哉もきっと……愛を捨てなければならない時が来るから、最後の愛を捧げる人に、これをあげるのよ」
好きになった人なんかいなかったし、その時は適当に「うん」って答えた。
ばあちゃんが亡くなったのをきっかけに、俺達家族は関東から関西の大阪に引っ越した。
そこで、ようやくばあちゃんが言っていた本当の意味を知ることになる。
「関東からお隣に越してきた涼宮です」
お引っ越し恒例の挨拶に、同じ歳の女の子がいるからという理由で駆り出された俺。
目の前には相手のお母さんの裏に隠れながら此方の様子を伺っている女の子。
その瞳を見た瞬間、俺は六歳ながらにわかった。
この子が、俺の運命の人なのだと。
一目惚れだった。
Aは人見知りで、外に出るのを嫌がった。
俺はAのことが好きだから、Aの意思を尊重したいとも思ったけど、俺はいつまでも傍にはいられない。
だって、俺は死ぬ。
中学二年生の冬、それが俺の
願わくば、彼女の傍でいつまでも幸せでいられたらどれほど幸せだっただろう。
でも、叶わない。彼女を幸せにできるのは、俺ではない他の誰かだから。
沢山の思い出を作ったけど、やっぱり一番は、二人で見た夏の星空だ。
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昆布の神(プロフ) - ルナさん» 修正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2021年11月17日 15時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あの、37話の星裁のお母さんが「まあ、神社みたいな感じかな」と言っている場面があるんですけど、”感じ„が“漢字„になっていましたよ! (2021年11月17日 0時) (レス) @page39 id: d2a92b36ce (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありですー! 角名君いいよね……最高すぎる……。 (2021年3月31日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - もう神作よ…角名くんの言動が何もかも尊く見えるんだが…… (2021年3月31日 21時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 星猫さん» コメありです! 合作!? 是非ともお受けしたいです! お誘いありがとうございます! (2021年3月21日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年3月8日 23時