25.似ているようで正反対 ページ27
『南側の夜空に位置するのが───────』
星座の説明を聞き流しながらぼんやりと画面一帯に映し出される星々を見上げる。
中学二年生の夏、あの人と見た満天の星空には敵わないけれど、プラネタリウムの星でも、あの日を思い出すには十分だった。
───── 『数ある星の中から選ばれたんだから、生きないとって』
意志が強くて、常に目標が高い。そんなあなたが好き。今でも好き。
数ある星の中から選ばれようとも、この世界には理不尽な世界の理に疲れて自ら命を投げ出す人もいれば、
どうしようもない壊れた精神や、どうにもならない憎しみを抱いて取り返しのつかないことをしてしまう人もいる。
恵まれている人達は、そんなこと、物語の中だけの話だって思うんだろうな。
そう思えるくらいに、幸せなんだ。
もしも、それが普通だとしたら、私はこれからどうやって生きていけばいいのだろう。
恋が終わったあの瞬間から、どこか無気力に生きている。楽な方法を探してる。
*
「うぅっ、楽しかったぁ」
プラネタリウムから出て、ぐっと伸びをする。
四十分程、解説と共に星座とか諸々の星を見上げていた。もっと時間が欲しい……。
「角名君、ありがとう。久しぶりに楽しい誕生日になりそう」
なりそう、というのは、まだ時刻は午後三時ほどで夕方と呼ぶにもちょっと微妙な時間帯だからだ。
「ああ……うん」
角名君は何か思い悩んでいるかのように、眉間に皺を寄せて視線をあちこちに巡らせていた。
「ご、ごめん。なんか私変なこととか……」
「──── あのさ」
反射的に出た謝罪の数々を遮るように角名君はいつもからは感じられないようなしっかりとした目で私を見据えた。
「……誕生日、ぶっ壊すようなこと、聞いてもいい?」
「え、あ、はい」
何を言われるんだろうか、と冷や汗が流れそうなのを感じながら次の言葉を待つ。
「……ちょっと場所移動しようか」
「ここじゃあれだから」、と角名君はまた私の手を引いた。
これは、あの人とは違う。
あの人と角名君は、似ているけど正反対だ。
……いつまでも角名君とあの人を重ねてしまう私も、きっと、もう、ちゃんとけじめをつけなければならない時なのかもしれない。
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昆布の神(プロフ) - ルナさん» 修正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2021年11月17日 15時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あの、37話の星裁のお母さんが「まあ、神社みたいな感じかな」と言っている場面があるんですけど、”感じ„が“漢字„になっていましたよ! (2021年11月17日 0時) (レス) @page39 id: d2a92b36ce (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありですー! 角名君いいよね……最高すぎる……。 (2021年3月31日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - もう神作よ…角名くんの言動が何もかも尊く見えるんだが…… (2021年3月31日 21時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 星猫さん» コメありです! 合作!? 是非ともお受けしたいです! お誘いありがとうございます! (2021年3月21日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年3月8日 23時