01.くじ引き ページ3
「えー、じゃあ五月に入ったところで。日直も一周したことだし席替えするでー」
朝のHR、担任の声を聞くと教室の騒がしさが一オクターブ上がった。
席替えは素直に嬉しい。
チラッと横目に現在の隣の席である角名君を盗み見る。
あの日、一緒に日直をやった時以来、何故か角名君が私に絡んでくることが増えた。
角名君は顔立ちも綺麗だしバレー部のスタメンだし、ファンに目をつけられたくないのと、私自身、角名君は少し苦手。
だって、見つめられると心の奥底を見透かされている気がしてならないから。
常に包み隠してきた。こうやって生きてきて、間違っていたことなんて何一つ無かった。それを壊されてしまいそうで怖い。
「……何?」
角名君を見ていたことがバレたのか、こっちに目を向けてくる。できればそのまま前を向いていて欲しかった。
「別に何も無いわ。ごめん」
「ちなみに昨日『ごめん』って言った回数、俺が聞いてた限りだと十四回だったよ」
「なんで数えてんねん」
「趣味」
「……随分な悪趣味やな」
これ以上会話を続けると、また角名君に全てを見透かされたような視線を向けられることは確かなので目を逸らす。
「『ごめん』が気に触るようだったんなら謝るわ。次は席離れてるといいな」
わざわざ数えて、それを伝えてくるということは鬱陶しかったのだろうか。騒がしいのとか好きそうじゃないし。
「別にそんなこと言ってないじゃん。俺は席近い方が好都合だけど」
「ごめんけどそれは私が嫌やわ」
「悲し」
そんな会話をしていると、学級委員の女の子からくじ引きが回ってきたので、袋に手を突っ込んで何も考えずに適当に引いて中身も見ずに机に置く。
「……だって角名君、おっかないもん」
「へえ」
そう言って角名君もくじを引き、書かれた番号を見ていた。それから何も喋らない。
「……なんか、ごめん」
「何に謝ってんのか知らないけど。そっち番号何だった? 俺、窓際の席ゲットしたけど」
「へえ」
角名君の真似をした返事を返す。
「やっぱ他人に対して興味無いでしょ」
「そんなことあらへん、と、思うけど……」
「けど?」
「窓際は眠くなるし。授業、集中できなくなるかもだから嫌や」
「へー。で、どこの席だった?」
「ん、まだ開いとらん」
私は机の上に放っていた小さな紙切れをとって開いた。
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昆布の神(プロフ) - ルナさん» 修正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2021年11月17日 15時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あの、37話の星裁のお母さんが「まあ、神社みたいな感じかな」と言っている場面があるんですけど、”感じ„が“漢字„になっていましたよ! (2021年11月17日 0時) (レス) @page39 id: d2a92b36ce (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありですー! 角名君いいよね……最高すぎる……。 (2021年3月31日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - もう神作よ…角名くんの言動が何もかも尊く見えるんだが…… (2021年3月31日 21時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 星猫さん» コメありです! 合作!? 是非ともお受けしたいです! お誘いありがとうございます! (2021年3月21日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2021年3月8日 23時