09.角を劈く ページ11
咄嗟に出た謝罪の言葉とほぼ同時に角名君から体を離す。
小説とかでこういうエピソードがあれば、キュンキュンするものなんだろうけど、それが無いのは、私の心が枯れきっているからなのだろうか。
「今日の『ごめん』は、今ので丁度十回目」
まだ数えてたんだ。暇人なの？ この人……。
なんとなく気まずくなって、そのまま電車の中で角名君を見ようとはしなかった。
いつの間にか、ストレートだったはずの髪の毛は湿気でくせがついていた。
『次は××。 お降りのお客様は ─────』
「……あ、私、次で降りる。角名君は？」
「俺も次」
もしかして意外と家近いんじゃないか。というか、それならなんで今まで気づかなかったんだ。
あ、私がリズムゲームしてるからか。
駅に着くと、音を立てて扉が開いた。また、傘が邪魔にならないように人の間を通り抜けていく。
「うわ、雨強くなってきとるやん……」
駅のホームから外に出ると、雨の打ち付ける音がよく聞こえる。風も強い。傘吹っ飛ばされないかな……。
結局、角名君とは帰り道も一緒みたいで、お互い沈黙のまま歩き出す。話す話題とか、無いし。
暫く進むと綺麗に左右に分かれた角がある。
「角名君どっちなん？」
「右」
「あ、私ひだ」
『左』と言いかけたその時、耳を劈くような嫌な音と凄い強風が体を打ちつけた。すんでのところで傘が飛ばされないように抑える。
雨は激しさを増す一方だ。
「あ、やばい傘壊れた……！」
さっきの強風で見事に傘が壊れた。運が悪すぎる。なんなの今年の誕生日。さよなら、私のハッピーライフ。
すると角名君が私を傘に入れてくれて訊いてくる。
「家どれくらい離れてる？ あと家に誰かいる？」
「え、えっと、ここから五百メートルくらい。で、一人暮らし」
「じゃあ俺の家来て。すぐそこだから」
「……」
え？
答える間もなく、角名君に手を引っ張られてお家に強制連行された。
ついたのは小さいけど、どこか見た目が可愛らしくも感じるアパート。
断ろうかと思ったけど、こんな中で家に帰っても不安なだけなのでお言葉に甘えて、壊れた傘をなんとか綴じてお邪魔させてもらった。
───────
再登校したくないよぉぉおおお
再登校だったらそのまま部活の方が良かったよぉおおおおお
……頑張ろ……
皆さんも頑張ってください……
あと少しで春休みだ……
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昆布の神(プロフ) - ルナさん» 修正致しました。ご指摘ありがとうございました。 (2021年11月17日 15時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - あの、37話の星裁のお母さんが「まあ、神社みたいな感じかな」と言っている場面があるんですけど、”感じ„が“漢字„になっていましたよ！ (2021年11月17日 0時) (レス) @page39 id: d2a92b36ce (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 虹四葉さん» コメありですー！ 角名君いいよね……最高すぎる……。 (2021年3月31日 21時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
虹四葉(プロフ) - もう神作よ…角名くんの言動が何もかも尊く見えるんだが…… (2021年3月31日 21時) (レス) id: 550a2fdb83 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 星猫さん» コメありです！ 合作！？ 是非ともお受けしたいです！ お誘いありがとうございます！ (2021年3月21日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2021年3月8日 23時
