あの日、見た星に願いを。【オリジナル】 (ページ8)

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Ⅵ ページ8

「……」

冷や汗流して家の前で立ち尽くす。
結局、帰り道も言い争いばっかりして、大切なこと何も言ってない。

「私、何やってんだろ……」

その場に頭を抱えてしゃがみこむ。
今日で終わりかなぁ……。
戻れるの……。

だとしたら……

なんて思いながら一度、家に帰って考えることにして部屋に入ると、

「は……」

私の机の上には例の本があった。

「なんで、」

慌てて本をとってページをめくってみる。
そのページは殆ど白紙だったけど、最後のページにだけ文字が書いてあった。

『効力が切れるまで残り十日
死者が死ぬ未来は変わらない』

光輝が死ぬまで、あと十日……。
そして、それを回避することは、できない……。

ギュッと本を握る。

「っ……」

変えられない。
運命に抗うことは出来ない。

私は、無力だ。でも

「……好き」

この想いだけは、せめて貴方に伝えたい。

女の子として見られてはないかもしれない。
だけど、ずっとずっと心の大事な鍵をかけた引き出しに閉まってきたこの想いは、いつまでも変わらないから。

十日しか(・・)？
違う。
十日も(・)ある。

そう考えれば、きっと大丈夫。
貴方とこれから過ごす時間を無駄にしたくないから。

私は本を腕に抱いてギュッと力を入れて抱きしめた。

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朝。二年ぶりの中学の制服は何だか懐かして嬉しくも感じる。

あの時は高校の制服に憧れていたというのに。
人の感覚は不思議だ。

髪をサイドでひとつに結び、朝食の食パンを牛乳で流し込んで家を出る。

私は園芸部だから朝は花の水やりがある。
委員会は前の通り図書委員。

家を出て十分。学校に着いた。

一度教室に向かってスクールバッグを机に置き、再び校庭に出る。

これは毎週水曜日、私の担当日の恒例。

緑のホースを蛇口にくっ付けて、蛇口をひねると、たちまちホースの内側から外へ水が流れ出していく。

前の小学校ではジョウロで水やりをしていたのだが、中学校はいかんせん種類も数も多いのでジョウロではなくホースで年中水やりをすることになっている。

校庭では野球部やサッカー部。
少し離れたコートではテニス部が練習を行っている。

そしてサッカー部には……

「……ん、あれ？」