あの日、見た星に願いを。【オリジナル】 (ページ17)

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XV ページ17

＊

やってしまった …… 。

翌日、誰もいない放課後の教室で私は頭を抱えた。
なんであの時引き止めなかった。
なんで力ずくで話を聞かなかった。

今日、光輝は死ぬ。
何も変わらない。変えられない。

相変わらず、光輝には避けられ、最悪の形になっている。
なのに、なのに光輝はいつもと変わらないかのように友達と話して、笑って。

これから光輝が死ぬだなんて思えないけど、だけど前もそうだった。

何も変わらないように思えた日が、悲劇の日だったんだ。

今日は久しぶりに光輝が部活に参加しているらしい。でも、そろそろ部活も終わりだ。
となれば、光輝は─────

考えるだけで吐き気がした。
目眩がして、思わず口を抑える。

光輝、光輝、光輝、光輝。

死……

「秋月？」

教室のドアから声がして見てみると、何故か田中がいた。

「は？ちょっと、田中あんた、なんでここにいるわけ」

「いや、お前もな」

珍しく静かな口調で田中がゆっくり私に近づく。

「……何？」

「お前さ」

気を紛らわすように、スクールバッグの中の水筒を取り出して飲もうと口付けた。

「如月のこと好きだろ」

ブハッとお茶を盛大に吹き出しそうになった。

「は！？なっ……だからっ、違……」

「もう、そういうのいいから」

田中にだけは知られたくない。
その一心で否定しようとすると、田中は私から目を逸らして言った。

「……お前が学校、休んだ時さ、ノートとか届けに行ったのは俺」

「知ってる」

「……中身、見た？」

「……見てない」

光輝が届けに来てくれなかったのが悔しくて、中身を見ることができなかったのだ。

「今持ってる？」

「持ってるけど……」

「見ろよ」

「なんで」

「いいから」

田中に促さされ、渋々とノートを開く。
ノートに一体何があるというのか。
そう思ったけれどノートを見た瞬間、あることに気付いた。

「……嘘」

薄い筆圧。角張った字。これは、

「光輝の……」

「お前のノート、如月が全部とってたんだよ。
なのにさ、アイツ……自分で届けずに俺に届けてほしいって……」

パズルのピースがはまるように、幾億の星が集結したように感じた。

そうか。じゃあ、まさか光輝は

「如月、なんか思い詰めたような表情で、それで俺……って秋月！！」

田中の声を無視して私はノートを持って教室を飛び出した。
ずっとそうだったなら、なら、どうして教えてくれなかったの？ねえ光輝。