つめたくてあつい。22 ページ24
「冷たい……」
頭を抱えていた手を退け、その冷たいものを持つ無一郎に目を向ける。
ていうか、いつの間に買ってきたのだろうか。
「あれ、意外と驚かない」
「君はなんとなく変な反応しそうなきがしたんだけどなー」とほざきながら、私にアイスを渡してくれる。アイス売ってるんだ……。
「やっぱりこういうのは慣れだよね」
「M?」
「違うんだけど」
なんで、Mという話になった。
「私のどこがMだと言うんだ……」
ブツブツとほざきながら、アイスの袋を開けて口に押し入れると、たちまち涼しさが感じられる。
「にしても、釣り糸切れるの早かったねー」
「いや、皆んなあれくらいで切れるでしょ!?
無一郎が論外なだけだから!!」
無一郎くん。君はいろいろな場面で才能を発揮しすぎなんだよ。
少しは私にもスポットライト分けてよね。
「ここのお祭り花火あがるんだよ」
「無視しないで」
✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
「……なんで、こんなの貰っちゃったかなあ」
花火が見える丘でポロリと零す。
「いいじゃん、君にぴったりだよ?」
「喧嘩売ってる?」
とある屋台のおじさんからもらった物を月にかざしながら、軽く無一郎を睨めつける。
実は先程、誤って誰かの射的の玉がお面の屋台に当たってしまい、落ちてしまったお面を拾うのを手伝ったら一つ、お面をもらったのだ。
要らないって言ったんだけど……
こんな歳にもなってもうお面付けないよ……。
「きつね面だよ。他にあったア〇パンマンとかよりマシでしょ?」
「なんでそんな残念そうに言うの。
無一郎は私にア〇パンマンになって欲しかったわけ?」
絶対、無一郎私の事舐め腐ってるわ。
間違いない。
そして再びきつね面を見る。
顔の上半分を覆うような面で、耳の辺りに蝶の模様が施されている。
「それに、お面で髪飾り落ちるかもだし……」
そう呟くと無一郎が「あ、忘れてた」と何かを思い出すように何やら探り出した。
「これ、君にあげようと思ってたんだ」
無一郎が取り出したのは思いもよらない物だった。
310人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「時透無一郎」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
諸刃 - 設定が素敵!ちょっと切ない恋のお話も好きです。「胡蝶蘭のネックレス」には感動して泣きました! (8月14日 18時) (レス) @page35 id: b434511ad8 (このIDを非表示/違反報告)
侑夏 - 「夏の日の願い」を読んで、他の皆は前世の記憶があるのに凄く切ないなと思いながら読んでいました。最後、無一郎が迎えに来てくれたという流れで、『思い出してくれて良かったな。』と思いました。まだまだ読み直そうと思います!!改めて、完結おめでとうございます! (2022年1月12日 15時) (レス) id: 04ca5b2a61 (このIDを非表示/違反報告)
侑夏 - 今日初めて読みました。まずは完結おめでとうございます!「師範の願い」からずっとカナエさんの願いを叶えようとする主人公が、凄く感動的でした!!そして、無一郎と結ばれていくという物語に号泣しました。 (2022年1月12日 15時) (レス) @page35 id: 04ca5b2a61 (このIDを非表示/違反報告)
アオ(プロフ) - 夜から読んでたら徹夜してました!本当に面白かったです!話の流れにそっているところがとても実物感があって、キスのところは50回くらい発狂しそうになりました!本当にありがとうございます!最高すぎました! (2020年8月4日 6時) (レス) id: 0202dd951f (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - 遅くなりましたが、完結おめでとうございます。感動でした! (2020年7月29日 20時) (レス) id: b99d983c73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:昆布の神 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年7月19日 15時