夏の日の願い【時透無一郎】

つめたくてあつい。18 ページ20

夜の二十時。
許可を取り、一人で田舎の中を歩いた。

田舎だから星が綺麗。
縁川で輝く星々を見上げる。

何億年も前、ずっとずっと昔から星はこの世に生まれ落ちている。
その星々は今も色褪せることは無く、輝きを見せている。



……ように思っているだけ。それは偏見だ。


私達は何億年も前から地球に住んでいたわけじゃない。
昔の星を実際に見たことがあるわけじゃない。

もしかしたら星々は、昔はもっと、太陽のように輝いていたのかもしれない。


私達人間は身勝手な決めつけで歴史を決める。
歴史なんて私達がわかるはずもないのに。
残っているもので繋ぎ合わせた歴史の鎖。
でも、きっと、それは所々で今にもはち切れそうなほど強度は低い。

必ず、歴史にはどこかしら間違っている箇所があるはずだ。
しかし何百年も前のことを正確に言い表すということが難しいのは私にだってわかる。


だけど、もし、その歴史が間違っていたとするなら
それは、その人にとっては、酷く悲しむのだろうって思わなかったことは無い。


しかし、それもまた偏見。
答えは無い。この世界に元より答えは存在しない。
解答権は誰にも無い。


それでも誰だって、大切な記憶は残したいと願う。
忘れることがないように。



目を細めて、星から視線を外したその時だった。


「おい」









【作者から】
あー、短いと内容がとても薄く感じるんじゃー
そして無一郎の出番が少ない……。
次の話でも出てくるか怪しいです。
決して無一郎を忘れてるとかそういうことじゃなくて物語を進めるのに大事な場面でして(((((

あと一、二話くらいで出てくると思うので待っていてくだせえ……

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