人魚姫 XVI ページ18
ピピピ……という目覚まし時計の音。
薄らと瞼を持ち上げ、時計を止める。
カーテンを開けると、都会の高層ビルと共に朝日が差し込んできた。
故郷の田舎を抜け出し、碧晴は都会へ来たのだ。
十年前の学生時代─────ずっと憧れていた都会に。
……憧れていたというのに、碧晴の都会での暮らしはどこか憂鬱だった。
朝の日差しを見ると、必ず喪失感に襲われるのだ。
だがそれが誰なのかわからない。
更に海のない場所にいると、なんだか不安になってくる。
また、これもどういうことか自分でもわからないのだ。
碧晴は支度を済ませ、一枚のパンとコーヒーを飲んで家を出た。
高校二年生の夏休み明け。
沢山の友人に「変わったな」と言われた。
自覚はないが、蓮曰く「明るくなった」とのこと。
…………まあどうでもいいが。
碧晴は空を見上げた。
白い雲に青い空。空は海にどことなく似ている気がする。
海。
海のどこかで、誰かと会った気がする。
歌声が綺麗だったけど、その声すら思い出せない。
すると碧晴の携帯にプルル……と電話がかかってきた。会社の同僚からだ。
「もしもし？」
『あ、碧晴！なんか急なプランが入って……！！
ちょっと早めに会社来てくれ！！』
「ん、わかった」
碧晴は画面を閉じて、少し急ぎ足で走り出した。
毎日、忙しい。
だが暗くなってはいけない、と碧晴は思うのだ。
『碧晴』
その名前は太陽だと、いつしか誰かが教えてくれたから─────。
END
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鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - すごい…！！私の好きな綺麗な世界観…！更新お疲れ様でした！ (2020年6月14日 23時) (
レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
昆布(プロフ) - 日向鬼@低浮上さん» ありがとうございます。「綺麗」と言ってもらえて嬉しいです〜！ (2020年6月6日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@低浮上(プロフ) - もう凄いわ僕((本当に題名で当てられるようになった…待ってました！(ドンドンパフパフ)昆布さんのお話は綺麗でなんかお話し読んでて楽しい(？)から大好き！頑張って！ (2020年6月6日 20時) (レス) id: 98b52071c9 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» ありがとうございます。ちょっといろいろと勉強しました〜 (2020年6月6日 19時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 夢主の画力が良すぎィ↑私には到底辿り着けないような境地だぁ！そして文章力も圧倒的に上がってきている！羨まし！ (2020年6月6日 19時) (レス) id: a6ac34b766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon723/
作成日時：2020年6月6日 18時
