人魚姫 I ページ2
「なあ知ってるか？」
うるさく蝉が鳴き、頭が痛くなるほど暑い田舎の夏。毎年、代わり映えのない夏だったが今年は少し違うらしい。
蒸し暑い教室の中を鬱陶しく思いながら
「夏の夜、北の海に出るっていう人魚の話だろ？」
「そうそう！」と楽しそうに話す男友達二人に碧晴は冷ややかな視線を向ける。
人魚など現実に存在するものか─────。
現実主義者の碧晴は架空の生物の存在など、単なる噂、迷信以外の何にも思ったことはない。
田舎の夏。都会とは違い、大きなショッピングモールや映画館なども無く、単調な日々が過ぎていくだけ。そんな毎日に呆れた誰かが流した噂だろう。
「でもさ、その人魚って近付いたら消えるんだよな」
「噂だとその人魚は悪魔と契約を結んでいるから人と関われないとか……」
同級生がニヤリと笑いながらお化けのフリをしている姿を見た碧晴は聞こえないようにため息をつき、スクールバッグを手に持った。
「碧晴、もう帰んのかー？」
「ちょっと家の用事思い出した」
ただの口実である。
つまらない毎日。確かにそれは理解できる。
現実主義者で人付き合いや話すことが、あまり好きではない碧晴だって、田舎はつまらないのは同じだ。
しかし、だからと言って嘘とわかっている話をして時間を消費するのは嫌いなのだ。
高校二年生。
高校生活にも慣れ、一年生のように新しい生活にワクワクするわけでもなく三年生のように大学受験で忙しいわけでもない。
「……確かにつまらねえな」
ボソリと呟いたその言葉は、既に学校から出ているせいで誰にも聞こえることはなかった。
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鮭の神様(元 レオ)(プロフ) - すごい…！！私の好きな綺麗な世界観…！更新お疲れ様でした！ (2020年6月14日 23時) (
レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
昆布(プロフ) - 日向鬼@低浮上さん» ありがとうございます。「綺麗」と言ってもらえて嬉しいです〜！ (2020年6月6日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@低浮上(プロフ) - もう凄いわ僕((本当に題名で当てられるようになった…待ってました！(ドンドンパフパフ)昆布さんのお話は綺麗でなんかお話し読んでて楽しい(？)から大好き！頑張って！ (2020年6月6日 20時) (レス) id: 98b52071c9 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - テイル@パピコ同盟さん» ありがとうございます。ちょっといろいろと勉強しました〜 (2020年6月6日 19時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
テイル@パピコ同盟(プロフ) - 夢主の画力が良すぎィ↑私には到底辿り着けないような境地だぁ！そして文章力も圧倒的に上がってきている！羨まし！ (2020年6月6日 19時) (レス) id: a6ac34b766 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon723/
作成日時：2020年6月6日 18時
