orchid 117 ページ42
黒死牟side
縁『兄上の夢はこの国で一番強い侍になることですか?』
いきなり無惨様を追い詰めた剣士であり、誰より憎かった双子の弟、縁壱の声が聞こえた。
縁『俺も兄上のようになりたいです。俺は、』
縁『この国で二番目に強い侍になります』
侍の姿か?
これが…
これが本当に私の望みだったのか?
ドクンと心臓が波打つ。
血鬼術が出せない。
自問自答を繰り返している内にまた頚を斬られていた。
私は死を受け入れた。
体が崩れていく。
思い出した。
死にたくなかったのか?
こんな惨めな生き物に成り下がってまで
違う。私は
私はただ
縁壱。お前になりたかったのだ。
縁壱は双子の弟だった
当時は不吉とされていた双子の弟であった上、生まれつき額に不思議な痣があり殺されかけたが十になったら出家し寺に行くことを条件に母親に生かされた。
縁壱を哀れんだ。
しかし己より下だと思っていた者は己より遥かに優れていた。
私の師範を縁壱は手合わせで直ぐに失神させた。
縁壱は剣の才能に恵まれていた。
そんな言葉では言い表せないくらい、理に反していた生き物だった。
家を継ぐのは縁壱ではないかと言われるほどに。
けれど縁壱は寺へ行った。
私が昔にあげた笛を持って
微笑みながら寺へ向かった。
それから十年余りは平穏な時が続いた。
妻をもらい、子も授かり、穏やかだったが少し退屈な日々で年月の流れが遅く感じた。
しかし野営していた所を鬼に襲われ停滞していた時が動き出す。
縁壱と再会した。
縁壱は鬼狩りとなり私の所へ襲ってきた鬼も相変わらずの剣技で倒した。
縁壱は私の部下が死んだことを詫びた。
私は縁壱の強さと剣技を我がものとしたかった。
家も、妻も、子も捨て縁壱と同じ鬼狩りの道を進んだ。
縁壱はそれぞれの者に合わせて教える呼吸を変えていた。
そうして日の呼吸から数々の呼吸が派生していった。
痣者も増え鬼狩りの戦力も増していく。
私にも縁壱と似た痣が発現した。
しかし痣者が次々に死んでいった。
痣は寿命の前借りに過ぎず全盛期は直ぐ終わる。
私には未来がない。
そんな時、無惨様に出会った。
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陽奈 - 返信ありがとうございます!了解しました。昆布教信者になったので、他の作品も見てみます(笑)! (2020年9月24日 18時) (レス) id: c8962603e4 (このIDを非表示/違反報告)
りんご昆布の神(プロフ) - 陽奈さん» 今、パクリ防止として多くの人が目を通した作品(殿堂入り作品)をパスワード保護しています。ご迷惑おかけして大変申し訳ありませんが、しばらく閲覧は許可できません……。 (2020年9月24日 6時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
陽奈 - とっても面白くて一気見してしまいました!昆布ネタで毎回笑ってます!ところで質問です、このお話の肆のパスワードはどうやったら知れますか?これからも頑張ってください! (2020年9月23日 23時) (レス) id: c8962603e4 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - ウルさん» 甲と称して、それまた柱と説明するのが面倒くさく感じてそう紹介していたのですが……。気になるようでしたら変えます。ご指摘ありがとうございました。 (2020年4月29日 9時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
ウル(プロフ) - 指摘すいません。甲の中でも最も強い九人の剣士を柱と称しているだけなので、本来は柱という階級はありませんよ((夢主紹介の時に疑問に思ったので…… (2020年4月29日 3時) (レス) id: c7394f7d2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2020年3月9日 10時