師範の願い【時透無一郎】参

orchid １０１ ページ24

伊之助side


殺された…



母親…


俺の……




童「骨まで残さず喰べてあげたよ！
家に戻っても旦那に殴られるし

一人じゃ何もできないから母子で野垂れ死にだし」





童「不幸だよねえ琴葉。

幸せな時ってあったのかな？

何の意味も無い人生だった」




貴「いい加減にしろよ」



Aの低い声が部屋に響いた。



でも俺の頭には母親の優しい声が聞こえていた。





琴『可愛いね伊之助 ちっちゃいおてて』






琴『伊之助はあったかいねぇ


私の宝物


一緒にいられて幸せだねぇ』









嘴「本当に奇跡だぜ。この巡り合わせは」





嘴「俺の母親を殺した鬼が目の前にいるなんてなァア！！」


顔に青筋がビキビキと立っていくのが自分でもわかった。




嘴「謝意を述べるぜ、思い出させてくれたこと

ただ頚を斬るだけじゃ足りねぇ！！」








嘴「テメェには地獄を見せてやる！！」







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夢主side


嘴「テメェには地獄を見せてやる！！」


伊之助君の表現できないほどの怒りがこもった叫びが部屋の中にこだました。



童「猪に育てられたというのに、よく言葉を知ってるね。

だけど間違ったことも覚えたみたいだ。

この世界には天国も地獄も存在しない。
無いんだよそんなものは」




………………。





童「人間による空想。作り話なんだよ。どうしてかわかる？」



また、くっだらない理屈を言い出すのか…



童「現実では真っ当に善良に生きてる人間でも理不尽な目に遭うし、悪人がのさばって面白おかしく生きていて甘い汁を啜っているからだよ」



カ「…」



童「天罰はくだらない。

だからせめて悪人は死後地獄に行くって
そうでも思わなきゃ精神の弱い人たちはやってられないでしょ？

つくづく思う。人間って気の毒だよねえ」



嘴「地獄がねぇなら俺が作ってやるァア！！

ごちゃくそうるせぇんだテメェはァア！！」





嘴「俺の母親を

不幸みたいに言うなボケェ！！」



【凍て雲】




援護するために私も動き出す。





［獣の呼吸 拾ノ牙 円転旋牙］


貴［花の呼吸 弐ノ型 御影梅］




童「いいねぇ面白いねぇ

できることならこうしてずっと遊んでいたいね、飽きるまでは」




背後からカナヲとしのぶが童磨を狙う。




カ［花の呼吸］


［蟲の呼吸］

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