師範の願い【時透無一郎】参

orchid ９０ ページ11

とにかく必死に走っていたらお館様の屋敷が見えてきた。




もっと速く足を動かして…



速くっ…






ドォォン！！！







嫌な音が前の方から聞こえた。







嘘だ。






お館様の屋敷が炎に包まれている。







お館様は？


あまね様は？


ひなき様、にちか様、くいな様、かなた様、輝利哉様……




誰か、誰か一人くらい生きてるのだろうか…






無「早く行くよ！！」



貴「っうん…！！」







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鬼舞辻無惨side


鬼「ぐっ」




鬼「産ッ屋敷ィィッ！！」



あの男の顔！！


仏のような笑みを貼り付けたまま、己と妻と子供諸共爆薬で消しとばす！！



私は思い違いをしていた。



産屋敷という男を人間に当てる物差しで測っていたがあの男は完全に常軌を逸している。




何か仕掛けてくるとは思っていた。

しかしこれ程とは。





爆薬の中にも細かい撒菱のようなものが入っていて殺傷能力が上げられている。



一秒でも私の再生を遅らせる為に。





つまりまだ何かある。


産屋敷はこの後まだ何かするつもりだ。




人の気配が集結しつつある。

恐らくは柱。


だがこれではない。

もっと別の何か。
自分自身を囮に使ったのだ、あの腹黒は。




私への怒りと憎しみが蝮のように真っ黒な腹の中で蜷局を巻いていた。



あれだけの殺意をあの若さで見事に隠し抜いたことは驚嘆に値する。




妻と子供は承知の上だったのか？





よせ。

今考えることではない。


動じるな、間もなく体も再生する。






【肉の種子 血鬼術！！】



いきなり誰かの血鬼術で固定された。


肉の中でも棘が細かく枝分かれして抜けない。



いや問題ない。大した量じゃない。


吸収すれば良い。




すると懐に何かが突っ込んできた。




鬼「珠世！！なぜお前がここに…」


珠「この棘の血鬼術は貴方が浅草で鬼にした人のものですよ！！」


目眩しの血鬼術で近付いたな。


目的は？何をした？何のためにこの女は…



珠「吸収しましたね無惨、私の拳を！
拳の中に何が入っていたと思いますか？」




珠「鬼を人間に戻す薬ですよ！どうですか効いてきましたか？」









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作者から

拳(昆布)って書こうとしたけど真面目な所だから書きませんでした。

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