𓂃 𓈒𓏸238𓏸𓈒 𓂃 ページ49
*
「なあ！ それって何書いてんの？」
帰る前、日向は私が持っているノートを指さした。
「……ただの部日誌」
「でもずっと俺達のこと見てた」
あんなに集中してコートの中を見ていたくせに、なんで気づいてんだろ……。
野生児の勘の良さに思わずゲンナリした。
「……」
ノートの表面を撫でる。
白布さんにも存在を訊ねられたこのノート。部活中はずっと持ち歩いて、でも恥ずかしくて誰にも中身を見せられなかった。
日向は、笑わないでくれるかな。そんな淡い期待を込めて日向を見ると、日向は真っ直ぐな目で私を見つめていた。
私は無言で日向にノートを押し付けた。
「？？ 見てもいいってこと？」
「……ちょっとね。ちょっとだけだからね」
日向はペラ、とノートをめくった。
その瞬間、一気に吸い寄せられたようにノートを凝視した。ページをめくることなく、視線だけがキョロキョロと動いているのでかなり深く読み込んでいる。
「あの、そろそろ体育館閉めなきゃだからノート……」
「これ！！」
恥ずかしくなってきてノートの返却を求めようとすると、日向が声を荒らげた。
「かっ、借りても！ いいですか！ 明日には返すから！」
何故か敬語で日向が言った。
強さを求める目。強さ、勝利に対する異常な執着と貪欲さ。コートに立ちたいという強い意識。
「───……」
その姿は、まるで＿＿＿＿。
「ダメって言ったら？」
「え゛っ！？」
なんとなくいじめたくなってそう言うと、日向は狼狽えて、「えーと……」と口をもごつかせた。
「いいよって言ってくれるまで、頼む！！」
日向はまっすぐな目で私を見つめた。
オレンジ。太陽のように煌めく憧れを濃縮したような瞳。
勝利への執着。
成長に対する貪欲さ。
強さへの渇望。
きっといつまでも満たされることはない。
影山や及川さんと同じ。
追いかけて、追いかけて、追いかけて＿＿＿＿。
予測が確信に変わった。
……やっぱり、そうか。
「……冗談。いいよ、貸してあげる」
ほんの少しの悔しさと、応援したさが混じった変な感情だった。
＿＿＿＿＿＿＿
【一年生からAへの印象・後編】
国見→第一印象詐欺師。いたずら好きだし、中学のとき人の不幸や失敗談を聞いてバカ笑ってたし、感化されて岩泉さんTシャツ着だすし。
影山→いいやつだと思う。中学のときマリオを知らなくてバカにされたけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1063人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
昆布の神(プロフ) - いよかん。さん» コメありです！ 頑張りますね！💪 (3月25日 8時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
いよかん。 - 赤い星おめでとうございます！！ これからも楽しみにしてます！！ (3月24日 19時) (レス) id: e0560282da (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - とくめーさん» コメありです！ そう言っていただけてめーっちゃ嬉しいです🥰 面白いお話を書けるよう頑張りますね！ (3月24日 7時) (レス) @page43 id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
とくめー - めっっっっちゃ面白いし投稿頻度高めなのすっごい最高です。めっちゃ好きですこの作品愛してます💕 (3月23日 22時) (レス) id: 70b13c5b03 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 葉華さん» コメありです！ 鬼滅書いてたの懐かしいです笑 そう言っていただけて嬉しいです🥰 新学期の準備もありますし、お互い体調には気をつけましょう。お気遣いありがとうございます！ (3月19日 6時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2024年3月9日 14時
