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A side
ネットの向こう側にボールが落ちた。それを見て目と口を開けて、工くんを見上げた。そしてガッと彼の両肩を掴む。
「見た！？ みっ……今の！！ 入った！！ 見た！？」
「見た見た！ スゲーじゃん！」
工くんがいつも通りの屈託ない笑顔を見せてくれたので、余計に嬉しくなった。
ネットを越えた。中学の時から一度も越えたことなかったのに。
「工くん教えるの上手いんだね。プレーが上手い人ってみんなそうなのかな？」
「え？ ……まあな！ そうかも！」
工くんがわかりやすく上機嫌になった。でも上手いのは事実だ。春高予選でも、結果は白鳥沢の敗けだったとはいえ、贔屓目なしに一年生の中では工くんがダントツの上手さだったと思う。
コートの向こう側に落ちたボール。それを見て、また高揚感が湧き上がる。
スーパープレーを見たとき、いつも興奮していた。すごいすごいっていつも思っていた。そのときも高揚感はあったけど。
「……すごい」
練習の
皆もこんな気持ちだったのかな。
私はまた工くんを見て、表情筋がゆるゆるのまま口を開いた。
「“できる”って楽しいねぇ。工くん」
できなかったことができるようになるのは気持ちいい。
勉強でぶち当たった難題を、たくさん考えて、考えて、答えを確認することなく解いて、合っていたときのような。
毎日味わえるわけじゃない。達成するまでには多くの時間を要するときもある。だからこそ、心の底から楽しいと思えるんだ。
そんな私を見て、工くんは何かを思い出したように目を開いた。それから、また笑って「そうだな」と呟いた。
＊
部活の練習メニューが終わり、何人か残って自主練をしている体育館。みんなのタオルが陳列されている横で、私は
ビブスは片付けたし、ボトルも洗い終わった。ここら辺に置かれているタオルはみんなの私物だから関係ない。
みんなの自主練が終わるまで居残っているのは、いつものことだ。
『オーバーのときは、手で三角形描くみたいに構えるんだよ。こんな感じに』
『ボールをとる位置はおでこのあたりな。怖いかもしれないけど、まあ死なないから大丈夫！』
(死なないから大丈夫……)
ポロッと手からボールがこぼれた。
ボールが遠くに行く前に、自分の手で転がして戻す。
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昆布の神(プロフ) - いよかん。さん» コメありです！ 頑張りますね！💪 (3月25日 8時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
いよかん。 - 赤い星おめでとうございます！！ これからも楽しみにしてます！！ (3月24日 19時) (レス) id: e0560282da (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - とくめーさん» コメありです！ そう言っていただけてめーっちゃ嬉しいです🥰 面白いお話を書けるよう頑張りますね！ (3月24日 7時) (レス) @page43 id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
とくめー - めっっっっちゃ面白いし投稿頻度高めなのすっごい最高です。めっちゃ好きですこの作品愛してます💕 (3月23日 22時) (レス) id: 70b13c5b03 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 葉華さん» コメありです！ 鬼滅書いてたの懐かしいです笑 そう言っていただけて嬉しいです🥰 新学期の準備もありますし、お互い体調には気をつけましょう。お気遣いありがとうございます！ (3月19日 6時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2024年3月9日 14時
