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「なんで、私をマネージャーにしてくれたの？」
マネージャーにならなければ、こんな思いすることなかった。人間関係に悩んで進路希望を変えることなんかなかったし、こんなむず痒くて中途半端な気持ちを抱えることはなかった。こんな、つらい思いしなくて済んだ。
マネージャーにならなければ、飽き性でつまらないだけだった自分が、こんなに夢中になれるものを見つけることなかった。かっこいいって心の底から思って、人生が華やかに鮮やかに色づくことはなかった。
「丁寧だったから」
影山が考える瞬間もなしに言った。
それがなんだか悔しくて唇を噛む。
せめて少しくらい悩んでよ。そうしたら、嫌いになる理由ができる。
「ノートのとり方とか、身の回りの整理整頓とか、爪とかが綺麗で丁寧だったから、マネージャーやっても、全部丁寧にやってくれると思った」
打算がない。きっと影山は私を褒めようという気なんてなくて、それはすべてかつて影山や部員達の利益を優先したときの考え。
＿＿＿＿『葉山』
遅くまで付き合った自主練。
一緒に帰った帰り道。
先輩に奢ってもらった肉まん。
みんなで一緒に行った夏祭り。
離れていった距離。
戻ることのなかった関係。
ついに叶わなかった全国の舞台。
葉山Aという人間を受け入れてくれた白鳥沢。
部員総出で応援した体育祭。
初めてこの目で見たオレンジコート。
ずっと憧れだった桐生の試合。
「……影山」
過ぎ去った青春は、どうしてこんなに寂しくなるんだろう。泣きたくなるほど切なくて、再び手に入れたいと願ってしまうんだろう。
マネージャーにならなければ、こんな思いをすることはなくて、マネージャーにならなければ、こんな思いはできなかった。
「今、バレーやってて幸せ？」
訊ねると、影山は訝しげに首を傾げた。
「？ おう」
即答。その顔と返事を聞いて、私は震える唇を噛んだ。
私達には言わせられなかったその言葉。
「……そっか」
ちゃんと笑えているだろうか。何も違和感を感じさせないまま。
「＿＿＿はや……」
「全国頑張ってね。中途半端な試合したらぶん殴るから」
影山の返事を待たず、私は踵を返して早歩きで立ち去っていった。誰もいないところでしゃがみこむと、へこんだペットボトルが目に入った。
「……悔しい」
嗚咽が漏れてこないように、ペットボトルを捨てて口を押さえた。
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昆布の神(プロフ) - いよかん。さん» コメありです！ 頑張りますね！💪 (3月25日 8時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
いよかん。 - 赤い星おめでとうございます！！ これからも楽しみにしてます！！ (3月24日 19時) (レス) id: e0560282da (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - とくめーさん» コメありです！ そう言っていただけてめーっちゃ嬉しいです🥰 面白いお話を書けるよう頑張りますね！ (3月24日 7時) (レス) @page43 id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
とくめー - めっっっっちゃ面白いし投稿頻度高めなのすっごい最高です。めっちゃ好きですこの作品愛してます💕 (3月23日 22時) (レス) id: 70b13c5b03 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - 葉華さん» コメありです！ 鬼滅書いてたの懐かしいです笑 そう言っていただけて嬉しいです🥰 新学期の準備もありますし、お互い体調には気をつけましょう。お気遣いありがとうございます！ (3月19日 6時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2024年3月9日 14時
