北一出身の白鳥沢マネージャー【3rd season】【ハイキュー】 (ページ10)

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試合前に宮ツインズを制した稲荷崎のキャプテン。
北信介がコートに入った瞬間、稲荷崎のコートの雰囲気が引き締まった。……引き締まった？少し、キャプテンにビビっている気もするが。

「五色ナイッサー！」

次のサーブ、工くんか。
ジャンプサーブで、威力も高い。

白鳥沢のコートから力強いサーブが放たれた。

(……いい球(ボール))

サービスエースとまではいかなくとも、稲荷崎に悪い空気が流れている今、相手を乱せたら本望。工くんの調子も悪くない。寧ろ好調。

しかし、その後工くんの眉間には皺が寄ることとなった。

先程コートに入った一番、北信介がなんてことない涼しい顔でサーブを拾い、稲荷崎は乱されるどころか安定している。
……いや、なんてことない、なんてこともないんだろう。少なくとも北信介本人にとっては。

だけど、そう感じさせるほど精密で安定したプレー。丁寧で、どこか自信に溢れている。

＿＿＿『今年の稲荷崎は二年生が主力らしいけど』
＿＿＿『三年生をひとりベンチからコートに入れるだけですぐに空気が引き締まるとかいう噂が』

「…………」

監督にとっては最高の選手。
こちらとしては最悪の選手。

……こんなにもそう思わせる選手は、そういない。

そして、嫌なことは続く。

『さあ、調子を取り戻したか稲荷崎。次は宮侑のサーブです。このまま勢いに乗れるか』

「ゲー……ほんっと、嫌なところでアイツ来る……」

独り言のつもりなのだろうが、天童さんがそう言ったのが聞こえた。エンドラインから六歩。スパイクサーブの合図だ。もし、ここを取られたら───……。

宮侑の右手から、強烈なサーブが放たれた。
その目は、ハイだ。ノッてしまった。

喧騒に包まれているはずの会場が、妙に静かに思えた。

＿＿＿＿＿

【電話】瀬見視点

「うん、わかった」

全国大会初日。白鳥沢のメンバーに背を向けてこそこそと電話するAの声が聞こえた。

「じゃあ、夜会おうね」

(＿＿＿逢瀬でもすんのか……？)

盗み聞きするつもりはなかったが、聞こえてしまったのだから仕方ない。目を丸くして呆然としていると、Aは顔を赤くしてこう続けた。

「最近髪がよく抜けるの。会えないストレスかな。……大好きだよ」

やっぱ付き合ってる！？彼氏！？

他の奴らを見ると、みんな各々の会話や試合に夢中だった。いや、今はそれでよかっ……。

「怜央……」

まーた彼氏じゃないんかい＿＿＿。