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A side
ノッてきたかと思った白鳥沢だったか、何故か第二セットで宮侑がハイになり、セッターに呼応するように稲荷崎が白鳥沢を越す勢いでノッてきて、そのまま第二セットを取られてしまった。
どうせなら、第一セットの勢いのまま試合を終わらせたかったが、そう簡単にいかないのがスポーツというものだ。
「
宮侑を素直に認めるほどには精神的に余裕が出てきたらしい白布さんがそう言った。
山形さんがボトルから口を離して「二刀流も厄介だからな」と頷いた。
「俺は角名の速攻がいちばんキライなんですけど……」
川西さんがため息混じりに言った。
___角名倫太郎。稲荷崎の10番。確か身長は185cmくらいだったはず。バレー界隈においては、ミドルブロッカーにしてはあまり身長は高くないけど、めちゃくちゃセンスがいいこと、そして速攻の厄介さに定評のある選手だ。
体幹? が優れているらしくて、速攻を打つときに腰が折れるんじゃないかというくらい上半身を曲げて、上手い具合にブロックを避けてくる。
「10番の速攻は躍起になって追わなくていい。寧ろあえてコース空けるくらいにしろ。その方がレシーバーも拾いやすいからな」
「ウッス」
……それと、あと個人的に気にしている選手がひとりいる。今は調子がいいから出てきてないけど、もし出てきたら、白鳥沢をどう乱してくるのだろう。
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ファイナルセットは、稲荷崎も白鳥沢も前半は調子が良かった。お互いに適宜ピンチサーバーを入れたりして、点を取り、取られの繰り返し。
かったるい展開が続く中、先に異変が起きたのは稲荷崎の方だった。
「っし!」
稲荷崎の10番の速攻を完全に見切った山形さんがボールを拾い、牛島さんにトスが上がるとスパイクが決まった。
稲荷崎の攻撃にほぼ対応し白鳥沢がブレイクを決めると、ファイナルセットという焦燥感もあってか、稲荷崎のプレーにミスが目立ってきた。
このまま押し切れたら、最終日に残れる、けど。
選手交代の音が鳴った。
稲荷崎は早めに対処を
『稲荷崎は選手交代。四番の尾白アランに代わり、一番キャプテン、北信介が入ります』
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川西って表情筋かたいけど絶対ノリいいタイプだよね〜。
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2024年1月12日 2時