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「Aちゃんと太一ってどうなったの？」
静かな体育館に天童の声が一際大きく響いた。
川西とAが目を丸くして同時に振り返る。
小声で「オイ何言ってんだよ！」と天童に耳打ちすると、天童が「まあ聞いてなって」と笑った。
「……」
まさか、コイツ……。
「どうなったって……」
意味がわからないといった顔でAが瞬きをした。
反対に川西は何か察しがついた様子で、「あー、そういう……」と呟いた。
「未来の義兄妹っスかね」
川西がそう言うと、Aが「あー！」と指パッチンをした。何故かペン回しとか指パッチン得意なんだよな、アイツ。
「確かにそうなりますね。＿＿＿北斗兄さんと川西さんのお姉さんが結婚したら」
数コンマ沈黙に包まれ、その後体育館がどよめきでひっくり返った。
「は！？ え、何！？ ついていけないんだけと！！」
「葉山ちゃんの兄貴と川西のお姉さん付き合ってんの！？」
「未来の義兄妹って、そういう……！？」
「じゃあこないだまでめちゃくちゃ親密に話してたのって……！？」
部員が問い詰めると、Aが話し始めた。
「北斗兄さんが川西さんのお姉さんに惚れたらしくて、恋のアドバイスを求められたんですけど私だけじゃ力もとなくて……。だから川西さんに直接お願いしたんです。一緒にあの人たちくっつけてあげませんかって」
「最近うちの姉貴も電話で気になる人いるってうるさかったんで……。特徴的にも北斗さん一択でしたし」
……ということは、だ。
二人で出かける予定を立てていたのではなく、お互いの兄と姉のデートプランを画策していた……ということ。
つまり、また俺達はまんまとAの色恋疑惑に乗っかってしまったと……。
そういえば、Aのお兄さんと川西のお姉さんって同じ大学に通ってるって聞いたことあるな……。
(※シリーズ最初の39話参照)
「……オイ、天童」
「ん？」
「お前もしかして、最初から気づいてた？」
あの北斗さん事件のときに比べたら、会議中も静かめだったし、もしかして本当に最初からすべてわかっていて、その上で白布を嵌めたんじゃ……。いや、どこから、いつから考えていたんだ？
悶々と考えていると、天童が「さーね」と口を開いた。
「どうなんだろ」
「ンだそれ……」
「まあ、今回の読みは五分五分ってとこかなー」
「お前にしちゃ打率悪いな」
「Aちゃん関連は読むこと多すぎるもん」
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2024年1月12日 2時
