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瀬見 side
「なかなかやりおるな……」
数日後、天童が腕を組みながら川西を見て口を尖らせた。
「だからもう認めてやれって。手加減ボールでもあぶねぇし……」
「娘の嫁入りで魂抜けたパパが何言ってんの？」
「パパじゃねえし」
「そうだね。どちらかと言えば英太くんはママか。獅音の方がパパっぽいよね」
「俺は獅音とは結婚してねえ」
しかも、ママはパパよりもっと嫌だし。
天童と話していると、どこからか白布が「もういいんじゃないですか」と言ってきた。
横を見ると、白布がこちらには目もくれずタオルで汗ばんだ肌を拭っていた。右手にはボトルがある。
「ちょっと会話聞こえてきましたけど、出かける予定立ててるっぽかったですよ」
「うわマジかよ」
「普通にガチのほうでしょ。明日からお盆休みですし、もう終わりでいいんじゃないですか？」
「賢二郎いいの？」
天童がそう訊くと、白布は眉根を寄せてあからさまに不機嫌な顔をして天童を見つめた。……というか、睨んでるな。この目力は。
「なんですか。ちゃんと言ってくださいよ」
「おい……」
「Aちゃんが他の
険悪な空気になりかけているこの雰囲気を断つため、天童に声をかけたが、天童は容赦なく言葉を続けた。
……もしかしたら、何か勘違いしていたかもしれない。
今回のこの騒動、誰よりも複雑な思いを抱えているのは、積極的に文句を言っていたあの部員達ではなく＿＿＿。
「……またあの時と同じようなこと言うんですか？ 葉山はラブじゃなくて残念だねって？」
「そう言いたかったら、さっき言ってたよ。何もそんな
セッターと
もはや何を言っても論争が止まらないことを察した俺は、とりあえずこれ以上険悪にならないことを願って口を出さず見守ることにした。
「太一だからいいって思ってる？」
「思ってません。葉山のこともそういう風に見てません。葉山だって俺のことなんか大して考えてもないですよ」
「Aちゃんのことはこの際どうでもいいじゃん。賢二郎は？」
「だからそういうのじゃないって言ってるじゃないですか」
「べつにそういうのじゃなくていいけど、だって賢二郎さ、
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2024年1月12日 2時
