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「うわああっ、サーブ強すぎた!」

「はいアウトー」



室内バレーとビーチバレーで違うのは風。
いつもの感じで打つと、風によってアウトになったりそもそもネットを超えなかったり、みんな力加減に苦戦しているらしい。



「……暇なんで砂のお城でもつくりませんか。つくれる気しませんけど」

「あーいいね。なんだかんだつくったことないし」







瀬見 side



「Aちゃん砂遊び始めてますけど」

「つまらなくなったんだろうな……」



ビーチバレーをともに傍観している川西と、遠くで青城のリベロと砂遊びを始めたAを眺める。

白布も最初は参加するつもりがなかったようだが、若利にトスを頼まれると即承諾していた。現金なヤツ……。


Aも最初は遠目にビーチバレーを観ていたが、みんなで遊びに来たのに自分がハブられたので、途中でつまらなくなったのか初対面のはずの青城のリベロとビーチで砂を積み重ねている。砂のお城でも作ろうとしているのか……?



すると、休憩の時間に入ったのか海の家のオッサン達がAと青城のリベロに絡み始めた。
一度戻ったかと思うと、海の家のオッサン達はノリノリな様子で砂遊び用のスコップや土の形を作るためのタッパーなどを持ち出して、現役高校生と一緒に砂遊びを始めた。

なんだ、あのシュールな絵面……。



「……瀬見さん、ちょっとあっち行ってみません?」

川西(オマエ)意外とそういうの好きなタイプだったの?」



川西は、表情こそいつもと変化が見られないものの、どこかウズウズした様子でそう言ったのだった……。









国見 side


「珍しくない? お前がああいうのに参加してないの」



パラソルの下で、俺は白鳥沢の一年スタメン、五色にそう言った。すると五色は「だってさ」と口を尖らせる。



「先輩から飲み物買いにパシられてる間に、いつの間にか(いさか)いが勃発してる上、試合始まってんだもん」

「もっと上手くサボればいいじゃん」

「どんな風に?」

「俺ならパシられたフリしてシカトするわ」



そう言うと、五色は「シカト……」と呟きながら、水蒸気を吸い込んで巨大化した入道雲を見つめた。
そして、何か怖いものを思い出したかのようにぶんぶんと首を振る。




「…………無理!!!」
(白布さんに殺される……!!)

「あ、そう……」




_________

川西のこといつもスマホで“怖西”って打っちゃう問題。

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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2024年1月12日 2時

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