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青城と白鳥沢って、もうこういう運命なのだろうか。
いや、及川さん達とウシワカに因縁があるだけか……。お互いの一年生と二年生はそこまで干渉し合ってないし。
「て、ていうかAちゃん……」
及川さんが葉山を見てワナワナと震える。
海に来たのだから、やはり目的は海に入ることらしい。
葉山は上から白無地のTシャツを着ているものの、下は水着のままだった。
「今すぐ服着ておいで! 見なかったことにしてあげるから!!」
「これパンツじゃなくて水着なんですけど」
葉山が若干イラッとした口調で言った。
確かに葉山が着ているのは、雑誌でよく見るようなやつではなくスカートタイプのもの。そもそも葉山にそんな攻めた水着を着る度量自体ないだろう。
「中学のとき海行こうよって言ったら『行きません』って言ったのに!」
「だってそのときは熱が……」
及川さんと葉山が口論しているのもそこそこに、俺は葉山の姿を改めて見た。
手足こそ細いが不健康に見えるわけでもなく、普段インドアのためその肌は焼けたことがないかのように白い。
葉山は夏でも下だけ長ジャージを履くので、手足をそう簡単に人に見せることはなかった。下ろしたところしか見たことのなかった髪をポニーテールにしているため、今までとは違う涼し気な印象がある。
「…………」
やめよう。考えることを。
これ以上踏みいれば、
「ていうかAちゃんを海に誘ってんじゃないよ! 襲われたら責任取れるんですかぁ!?」
「いや
「そもそも誘ったら『行きます』って言ったのAちゃんの方だからね?」
白鳥沢のゲスモンスターがそう言うと、及川さんは今度は葉山にグリンと目を向けた。
「危機感を持ちなさい、危機感を! いい!? 男ってのは万年女のコに飢えてるような生き物なんだから、ホイホイついていくんじゃありません!! あと自分の水着を安売りするんじゃない!!」
ソレ及川さんにブーメラン突き刺さってる気が……。
葉山と及川さんのやり取りを見守っていると、葉山がひとつ瞬きをして口を開いた。
「でも何かあったらそのときはそのときですよね。死んだら生き返らないのと同じです」
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話の展開的にまだ影山が出せないから、烏野の人達出したいのに出せなくてもどかしい。
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2024年1月12日 2時