北一出身の白鳥沢マネージャー【3rd season】【ハイキュー】 (ページ3)

今日:28 hit、昨日:222 hit、合計:151,252 hit

𓂃 𓈒𓏸96𓏸𓈒‬‬ 𓂃 ページ3

*

白布 side

準々決勝の対戦相手を聞いたとき、そうだよなと納得している自分と、嫌だなと感じている自分がいた。
稲荷崎とは、あまり戦いたくなかった。寧ろ、他の高校が当たる前に倒してくれとさえ願っていたかもしれない。

稲荷崎のサーブを、山形さんが綺麗に返した。
ここまで綺麗に返されると、逆にプレッシャーがのしかかってくる。

「牛島さん！」

いつも通りを心がけてトスをあげる。
まるで空中で止まっているかのような、そんな覇気を見せつけたのに、そのスパイクは稲荷崎にあげられた。

稲荷崎といえば宮侑が注目されがちだが、白鳥沢のようにワンマンチームというわけではない。
五本の指に入る尾白アランもいるし、宮ツインズの片割れ、宮治のほうもスパイカーとしての実力は申し分ない。

そもそも、二年生が主軸のレギュラーとなっている時点で絶対的な実力主義が見てとれる。

宮侑の指にボールが触れる。
それは“まずは挨拶”と言わんばかりの余裕の笑みで。

ふわっとあげられたトス。
……やっぱり、綺麗だ。

尾白アランの打ったボールが白鳥沢のコートに叩きつけられた。

「……」

『さぁ準々決勝、白鳥沢対稲荷崎。一点目を先取したのは稲荷崎の尾白アラン！全国で五本の指に入るエースです』

テレビと同じような声をした実況が、耳から反対の耳へ抜けていく。

白鳥沢に弱いスパイカーはいない。
それは何度も何度も牛島さんから言われた言葉でもあった。

だから俺が、しっかりしなければ。足を引っ張らないトスを。

去り際、宮侑のどこか挑発的な笑みが見えて顔をしかめる。眉間に皺を寄せてソイツを見上げると、去年も見た金髪が見えた。

「おたくのマネージャーは、存外ギャンブラー気質みたいやけど」

言いたいことは言い終えたのか、宮侑はそのままローテーション後のポジションに去っていった。

……高校ナンバーワンセッター。
全国を見れば、すごいセッターなんていくらでもいて、そもそもポリシーが違うから、なにか特別な劣等感があるのかと言われるとそういうわけでもない。

ただ、個人的に苦手で、嫌いなだけだ。

見ていると、話すと、自分の中で迷いという要らない雑念が渦巻いてしまうから。