検索窓
今日:11 hit、昨日:222 hit、合計:151,235 hit

𓂃 𓈒𓏸111𓏸𓈒‬‬ 𓂃 ページ18

*



四日目。結論から言うと、前日の相手、稲荷崎高校は準決勝に勝ち決勝へ駒を進めたが、最終的な優勝校は東京都代表の井闥山学院となった。佐久早聖臣がいるところだ。

インターハイの全日程が終わり、今はスクールバスで宮城へ戻っている最中。すっかり暗くなった外を意味もなく見つめていると、近くでお祭りが行われているらしく、屋台が並んでいるのが見えた。



(お祭り……)



懐かしい気持ちになった。
いちばん幸せだったときの話だ。

しかし、そのお祭りの風景はすぐに見えなくなってしまった。また単調なつまらない景色になり、私は飽きて眠ることにした。









空気に乗って伝播(でんぱ)する人々の熱気。
お腹の底に響く太鼓の音。
食欲をそそる特有の香り___。



「Aちゃん!」



パチンと泡が弾けるような感覚。
遠ざかっていたはずの、お祭り特有の匂いや音が鮮明になっていく。



「……なんですか」

「え、ホントに話聞いてなかった系!?」



及川さんがショック! という顔をした。
……なんだっけ。ああ、そうか。
バレー部のみんなでお祭りに来たのか。



「射的! 一番多く景品取れた人が勝ちね!」

「分かりました」



射的か。やったことないんだけど、できるかな。
銃を構えて、適当に景品を狙った。









「…………」

「うわっ、葉山射的ヘタクソ」

「ていうか目ェ細めすぎだろ」



全弾全滅した私に、国見と金田一が口々に言った。
何もそこまで言わなくても……。



「葉山」

「……何?」



影山がイカ焼きを食べながら私に声をかけた。
ていうか、いつの間に買ってきたの。そのイカ焼き。



「お前景品ほしくねぇのか?」

「………」

「ちょ、飛雄やめてあげなさい! わざと外してるわけじゃないんだから!!」



トドメをさしてきた影山に落ち込んでいると、及川さんが慌ててフォローしてきた。
「だって、見えないんだもん」と言うと金田一が呆れた顔で口を開いた。



「視力悪いくせに裸眼で生きてるからだろ。いい加減眼科行ってメガネかコンタクトつくってこいよ」

「メガネもコンタクトもなんか怖くない?」

「コンタクトはともかくメガネが怖いって……」

「太ったりしたら、いちばん最初に壊れるパーツかもよ?」

「まあまあまあ! 射的はここら辺にしてなんかご飯食べに行こっか!?」



軽い口喧嘩を始めそうになった私と金田一を見兼ねてか、及川さんが仲裁に入るように食事を提案してきた。

𓂃 𓈒𓏸112𓏸𓈒‬‬ 𓂃→←𓂃 𓈒𓏸110𓏸𓈒‬‬ 𓂃



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (137 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
810人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/  
作成日時:2024年1月12日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。