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その後、双方 撤収するまで時間に余裕があったのでバレーの話をしていると、存外宮侑の方と話が合った。
「もう私、九州の桐生が好きで好きで……！ 上げられたボールは全部打つっていうエース精神も最高ですけど、だからこそめちゃくちゃノリ良い一球が映えるんですよ」
「あ〜っ、わかるわ〜。俺もトス上げてみたいもん！ 俺のトスやったらいつだって桐生も絶好調やで」
「調子乗んなや」
「ていうか仲良くなんの早くね？」
きゃっきゃと盛り上がっていると、後方から「おーい」と声が聞こえた。
「おまえら、そろそろ撤収やって……」
「あ」
「ん？」
爽やかな短髪が似合っている稲荷崎のジャージを着た選手。
この人もさっきの試合で見た。WSの、銀島さんだ。銀島さんは私達を見て、何故かため息をついた。
「……双子、他校のマネージャーに何したん……」
「いやなんでちょっかい出した前提なん！？」
「確かにツムはちょっかい出すけど、俺はせえへんし」
「ハァ！？」
「あっ、あの違います。お話していただけなんで。ごめんなさい、長話しちゃって」
「えっ、そうなん？」
「せや！ 何もしてへんわ！」
銀島さんに猛抗議する宮ツインズに対して、角名さんが「普段の行いのせいだろ」と言ったが、呟き程度の声量だったので宮ツインズには聞こえていなかった。
「そうだ、葉山さん」
宮ツインズの抗議を見ていると、角名さんがスマホを取り出して私に話しかけた。
「良かったらライン交換しようよ。春高でも会うかもしれないしね」
「えっ、いいんですか……！？」
あの角名倫太郎の連絡先が貰える。
考えただけで興奮してきて、脳のアドレナリンは既に渋滞している。うひょー。
「ちょお待って、俺も欲しい」
「！？ 俺も！」
流れで、角名さん、宮ツインズ、銀島さんの連絡先が追加されてしまった。生まれ変わったラインの連絡先を見て、ドキがムネムネした。あ、やばい。ヨダレが……。
「じゃあ、また春高でな」
「はい」
背を向けた彼らを見て、ひとつ礼儀として言い忘れたことを思い出した。
「あっ……」
ホテルは学校として四日間の予約をとっているので、どうせ明日も試合を見るために会場に来る。だけど今、言わないと失礼そうだし。
「明日も頑張ってください！」
優しく手を振ってくれたのを見て、じんわりと胸が暖かくなると同時に、脳内でアドレナリンが爆発した。
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2024年1月12日 2時
