北一出身の白鳥沢マネージャー【3rd season】【ハイキュー】 (ページ12)

今日:113 hit、昨日:253 hit、合計:151,115 hit

𓂃 𓈒𓏸105𓏸𓈒‬‬ 𓂃 ページ12

*

A side

その後、白鳥沢もなんとか体勢を立て直して攻撃が決まるようになってきた。稲荷崎は北信介から尾白アランに戻し、お互いに今持っているカードを出し切った。ここから先は純粋な力比べだ。

熱いラリーが繰り広げられているコートを外から見守る。

私ができることって何だろうと、いつも自分の価値を探していた。だけど、いつだってコートに立っているのは選手で、マネージャー(私)は同じ土俵には立てない。

ここに来てひとつわかったかもしれないのは、選手達は私に対して特に何も求めていないということだ。
悪い意味とかじゃない。
みんなは、マネージャーは試合の時に何ができるかじゃなくて、普段の練習をどれだけサポートしてくれるかを重視している。

試合は選手達が自分で頑張ること。……試合で役に立とうだなんて烏滸がましい。

でも、みんなとの喜怒哀楽は共有したい。
喜んでいるなら一緒に喜んであげたいし、つらいときや苦しいときは、ただそばで寄り添ってあげられたらなって。

……中学のときできなかったことを、やり遂げたいだけ。

試合終了の音が鳴った。

【第一セット】２５ー２３
【第二セット】２２ー２５
【第三セット】２７ー２９

１(白鳥沢)ー２(稲荷崎)

敗けだ。白鳥沢(こっち)の。

＊

瀬見 side

今年のインターハイ全国は、ベスト8という結果に留まった。最終日まで残れなかったことへの悔しさはあるが、紆余曲折を経たものの全力を出し切って敗けたので、みんなの顔は悪くなかったと思う。

試合後のミーティングが終わったあと、わりとスタミナの無い天童が疲労が詰まった腰に手を当てながらAのところへ歩いていった。

「ねえAちゃん、先にちょっと聞きたいことあるんだけど……」

「はい？なんですか」

天童が声をかけた時点で部員は何となくこの先の話を察し、みんなして黙りこくった。……ああ、俺も忘れかけていた記憶が蘇ってきた。

「Aちゃんって賢二郎のこと好きだったの？」

言った＿＿＿＿！しかも、超ストレートに。

第一セットで早々調子を崩した白布に対してAが言い放った言葉。

＿＿＿『私は好きですよ』
＿＿＿『白布さんが』

白布の方を見たが、白布は聞こえないとでも言いたげに誰にも目を合わせず、というか、体ごとみんなに背を向けている。おい知らないフリすんな。

Aは天童の言葉に若干の引っ掛かりを覚え、難しい顔をして首を傾げた。