𓂃 𓈒𓏸94𓏸𓈒 𓂃 ページ49
*
「おたくのマネージャーさんに、初対面なのに『くそやろう』って言われたんですけど!」
「えぇ……!?」
「本当か、葉山」
「違います! いや、違うっていうか……い、いきなり絡んできて……」
「話しかけただけやん!」
「そりゃ、あんな見下ろすように話しかけたらビビるに決まっとるやん。こーんなちっこいんやから」
「はァ!? 俺が悪いんか!?」
もう私が謝ってしまえば、すべてが丸く済むだろうか?
うん、そうだ。早急に謝罪をしよう。
私には烏野高校の武田先生直伝の土下座という武器がある。床に膝をつこうとすると、とある声がざわめいた空気を一瞬で切り裂いた。
「___侑、治」
静かで、それでいて威厳のある声。
それはどこか牛島さんに通ずるものがあった。
宮ツインズは、その声を聞いてピタッと喧嘩をやめて、今度は冷や汗を流し始めた。
「帰りは遅いし、一年は宮先輩が宮先輩がって言うから何かと思えば……」
バレー選手にしては小柄だが、高校生にしては妙に貫禄がありすぎる。
チャックの開いたジャージから見えるのは背番号“1”。数字の下にはキャプテンマーク。……稲荷崎の主将だ。
「他校のマネージャーさん困らせるなや。しかも次の対戦相手は白鳥沢やのに。失礼やろ」
「俺は『くそやろう』って言われたんですけど!?」
「い、いやだから、それは……!」
「どうせ治の入れ知恵やろ」
稲荷崎の主将がそう言うと、宮治さんが『やべ』というような顔をしてそっぽを向いた。
「サムゥゥ……」
「いいからさっさと謝って集合場所に戻れや」
「すんません……」
「あ、いえあの……こ、こちらこそ……」
びっくりした。宮ツインズをこんなにも手玉にかけられる人がいるなんて。
___『今年の稲荷崎は二年生が主力らしいけど、三年生をひとりベンチからコートに入れるだけですぐに空気が引き締まるとかいう噂あるし』
「あ……」
ベンチの三年生って、もしかしてこの人だろうか。
稲荷崎の主将は宮ツインズを帰したあと、まっすぐ白鳥沢のところに歩いてきた。
「すんません。うちのがご迷惑おかけしたみたいで」
「いや、あの……でも私も悪くて」
「……侑のほうは特に、初対面の奴にはだいたい圧が強くなりがちやから、怖がられやすいねん。実際うるさい女子とかには容赦ないところあるしな。いつものことやから、気にせんでええよ」
659人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
昆布の神(プロフ) - (名前)さん» お気遣いありがとうございます……! 実は今の時点で7シリーズ続くことが確定しておりまして、コレ完結まで時間かかりすぎだろ問題になっておりまして……。できる範囲で頑張りますね。感染症が流行っているので、そちらも体調にお気をつけて! コメありです! (1月11日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく拝見しております!何だか焦っているように見えてとても心配です💦無理して書かなくても自分のペースで投稿しても良いんですからね!!これからも体調には十分に気をつけて過ごして下さい!これからも応援しています! (1月11日 21時) (レス) @page48 id: 9cd8b18189 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - Yunaさん» コメありです。更新の準備をしておきますので楽しみにしていてくださいませ……! (1月2日 17時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
Yuna(プロフ) - いつもお話楽しく読ませてもらってます!作者様もお気をつけください!1週間後楽しみにしています。 (1月2日 12時) (レス) @page39 id: 8dc1901234 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - ミミさん» コメありです。嬉しいコメントありがとうございます! 頑張ります🫶 (12月19日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年12月18日 22時