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「結局及川さんに全部もっていかれたな……」
茜色に染まった帰り道を三人で歩いていると、金田一が言った。
及川さんが最後に回して出てきたカプセル、その中身は葉山が欲しがっていたオオスズメバチそのものだった。
それアンタが出すの？ と俺と金田一が固まったのは言うまでもない。
そのくせに戦犯及川さんは、『Aちゃんのこと二人で送ってきなよ！』と言ってきた。しかも超清々しい笑顔で。腹立つ。
「運がいいのか悪いのかわからないな、あの人」
＿＿＿＿もしも、もっと環境が違ったら。出会う人が違ったら。
あの人は、県内で収まることの無いバレーボーラーになっていたはずだ。
白鳥沢の寮が見えてきた。相変わらずホテルみたいに大きい。
「ゴメン、葉山。結局俺ら特に役に立たなかったな」
「…………そんなことないよ」
そう言うと、突然葉山が歩みを止めた。振り返ると、葉山が体の前で自分の両手を握って口を開いた。
「嬉しかった。二人と話せて、二人とあんなふうに……同じ感情を共有して」
＿＿＿“あの頃に戻ったみたい。”
葉山が眉を下げて、切なく笑みをこぼした。
(……ああ)
いつになっても、どこに行ってもお前が夢見ているのは、やっぱりあの頃のことなんだな。
影山ともまだ仲が良かったあの頃。試合で勝ったらその喜びを分かちあったし、バレー以外でもたまに一緒に悪ふざけをして笑いあったこともあった。
同じ感情の共有。
……そんなの、何年前の話だっただろう。いつからできなくなったのだろう。
「……馬鹿なこと言うなよ」
そう返すので精一杯だった。金田一は目を伏せて、その静かさとは裏腹に握り拳をつくっていた。
やるせなさ。
その一言で終わらせるにはあまりに複雑に絡み合ったこの感情。それは、何と言うのだろう。
「うん。……ごめんね。送ってくれてありがとう。ここまででいいから」
そう言うと葉山は寮に向かって走り出した。消化できない重いものを抱えたまま。
葉山の後ろ姿を見ていると、予選の時に見た白鳥沢のバレー部の選手が葉山に声をかけたのが見えた。葉山は足を止めて、その人と一緒に歩き出す。
「……帰るぞ。国見」
「ああ」
金田一と一緒に来た道を引き返す。
俺も金田一も、あの頃には絶対に戻りたくない。
……だけど葉山。お前には、もうあんな重いものを背負っていてほしくない。
そう願うのは、あまりにも無責任で身勝手だ。
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昆布の神(プロフ) - （名前）さん» お気遣いありがとうございます……！ 実は今の時点で7シリーズ続くことが確定しておりまして、コレ完結まで時間かかりすぎだろ問題になっておりまして……。できる範囲で頑張りますね。感染症が流行っているので、そちらも体調にお気をつけて！ コメありです！ (1月11日 22時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
（名前）(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく拝見しております！何だか焦っているように見えてとても心配です💦無理して書かなくても自分のペースで投稿しても良いんですからね！！これからも体調には十分に気をつけて過ごして下さい！これからも応援しています！ (1月11日 21時) (レス) @page48 id: 9cd8b18189 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - Yunaさん» コメありです。更新の準備をしておきますので楽しみにしていてくださいませ……！ (1月2日 17時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
Yuna(プロフ) - いつもお話楽しく読ませてもらってます！作者様もお気をつけください！1週間後楽しみにしています。 (1月2日 12時) (レス) @page39 id: 8dc1901234 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - ミミさん» コメありです。嬉しいコメントありがとうございます！ 頑張ります🫶 (12月19日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年12月18日 22時
