𓂃 𓈒𓏸50𓏸𓈒 𓂃 ページ4
*
「あー……若利と、なんだっけ。名前忘れたけど天才セッターの後輩に挟まれてるもんな」
瀬見さんが頷きながらそう言ったので、びっくりして目を丸くした。
「知ってたんですか？」
「……まァ、敵ながら天晴れというか、普通に上手いじゃん。
瀬見さんは、三年生で、セッター。
だけど次のインターハイ予選、監督は二年生の白布さんを正セッターに起用するつもりらしい。
瀬見さんは何も言っていなかった。いや、何も言わなかったというか、不満を言っていなかっただけ。反応的には、まあ妥当だよなみたいな、そんな感じのことを言っていた。
中学時代に全国大会に出た経験もあり、名も知られている。実力は十分。そのはずだった。
「圧倒的な才能がなくても、人より多くセンスと才能を持って生まれたら、自分で自分に期待するモンだろ」
圧倒的な才能と言うのは、良いことばかりでないと思う。人との違いで環境に淘汰されたり、無意識のうちに他人を追い込んでいることもある。
周りを焦がしてしまうほどの才能はごく稀で、ちょっとの才能を持っている人はわりといる。だけど、そのほんの少しの才能を持ってしまったから、人は期待して、でも自分はなんてこともないんだと挫折してしまう。
……ああ、でも。
「……って、なんか暗い話するつもりなかったんだけど！ ごめんな」
「いえ」
才能が無くても、圧倒的でも、半端でも、どうせみんなつらいな。
だって、牛島さんはあんなに輝いているのに、影山は淘汰されただけだ。
「Aはこのあと何に出るんだっけ？」
「障害物競走です」
「障害物競走……？」
瀬見さんの綺麗な笑顔が、段々と哀れみを含んだ苦笑いになっていく。だから、なんで？
「……白布さんにも腹くくれって言われたんですけど……障害物競走って、そんな嫌な競技ですか？」
なんだか不安になってきて訊ねると、瀬見さんが「うーん」と歯切れ悪く唸った。
「レース中にこなすお題は少ないんだけど、その分内容が鬼畜……みたいな？ 俺も一年のとき、知らずにやったけど」
瀬見さんはその先は思い出したくなかったのか、「はは」と意味もなく笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 659人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
昆布の神(プロフ) - （名前）さん» お気遣いありがとうございます……！ 実は今の時点で7シリーズ続くことが確定しておりまして、コレ完結まで時間かかりすぎだろ問題になっておりまして……。できる範囲で頑張りますね。感染症が流行っているので、そちらも体調にお気をつけて！ コメありです！ (1月11日 22時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
（名前）(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく拝見しております！何だか焦っているように見えてとても心配です💦無理して書かなくても自分のペースで投稿しても良いんですからね！！これからも体調には十分に気をつけて過ごして下さい！これからも応援しています！ (1月11日 21時) (レス) @page48 id: 9cd8b18189 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - Yunaさん» コメありです。更新の準備をしておきますので楽しみにしていてくださいませ……！ (1月2日 17時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
Yuna(プロフ) - いつもお話楽しく読ませてもらってます！作者様もお気をつけください！1週間後楽しみにしています。 (1月2日 12時) (レス) @page39 id: 8dc1901234 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - ミミさん» コメありです。嬉しいコメントありがとうございます！ 頑張ります🫶 (12月19日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年12月18日 22時
