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瀬見 side
「……ってことがあったわけだけどさ、やっぱり、Aちゃんは全体的にご傷心中だと思うわけよ。それを人に見せないだけで」
部室で天童がゲンドウポーズをしながらそう言った。
六月も後半に差し掛かってきた。六月末といえば、我らがマネージャー、葉山Aの誕生日がある。
「インハイ予選の決勝の前後、死んだ目してましたからね」
「そーなのよ、賢二郎。アレは絶対に北一出身の奴らとなんかあったね。俺の勘がそう言ってる」
北川第一か。
詳しい話は知らないが、Aの代は随分荒れていたようで、あの年の北川第一のバレー部の青城進学率はかなり低かったらしい。
つまり、北一の雰囲気に嫌気が差して背を向けたのはAだけではなかったということだ。
「セッターが上げたボールを、コートにいる全員が無視したそうだ」
静かにそう言った若利の声と、始めて聞いた話だったので思わず勢いよく若利の方を振り返った。
「……点を取るため
「え、若利くん、そのときの試合見てたの?」
「見た。葉山は、その瞬間を間近で見ている」
前、葉山に好きな人がいる事件のとき。
及川と岩泉と鉢合わせた時、Aは二人とは普通に話していた。特に及川はAを溺愛(?)しているようだし、だとすればAが今も気にしているのは、自分と同い年だった部員達のことか。
「……Aちゃんさあ、バレー見てるときはめちゃくちゃ目ぇキラキラさせてるじゃんね。俺達のこともなんだかんだよく見てくれてるし、良くも悪くも情を持ちすぎるんだよ。だからあんなふうになる。もうちょっと適当にやってれば絶対に楽だったのに」
天童がそう言った。
それはそうだろうな。本気にならなければ得られないものがある一方で、本気になったからこそつらいこともあるだろう。
___『ここで求めているのは、エースに尽くせるセッターだ』
そんなこと、わかっている。
本当は誰もがちゃんと理解していて、だけど俺達みたいな人間は適当になれない。
「……Aにとっては、北川第一にいたときはあいつらが最強だったんだろ。あいつらが一番強いって信じてた。そんなふうに思ってたんなら、Aが適当になれるわけがない」
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昆布の神(プロフ) - (名前)さん» お気遣いありがとうございます……! 実は今の時点で7シリーズ続くことが確定しておりまして、コレ完結まで時間かかりすぎだろ問題になっておりまして……。できる範囲で頑張りますね。感染症が流行っているので、そちらも体調にお気をつけて! コメありです! (1月11日 22時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 初めまして!いつも楽しく拝見しております!何だか焦っているように見えてとても心配です💦無理して書かなくても自分のペースで投稿しても良いんですからね!!これからも体調には十分に気をつけて過ごして下さい!これからも応援しています! (1月11日 21時) (レス) @page48 id: 9cd8b18189 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - Yunaさん» コメありです。更新の準備をしておきますので楽しみにしていてくださいませ……! (1月2日 17時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
Yuna(プロフ) - いつもお話楽しく読ませてもらってます!作者様もお気をつけください!1週間後楽しみにしています。 (1月2日 12時) (レス) @page39 id: 8dc1901234 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - ミミさん» コメありです。嬉しいコメントありがとうございます! 頑張ります🫶 (12月19日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:昆布の神 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時:2023年12月18日 22時