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「ちょ、A、近い……かも」
パッと顔を上げると、瀬見さんが若干顔を赤くして気まずそうに斜め上に目を逸らしていた。
一気に冷静になった頭が、私と瀬見さんの距離を緻密に分析してしまい、我に返る。
「すっ、すすすすみません……！」
普段の自分とは段違いの素早い動きで瀬見さんから手を離して距離をとった。
本当に小さかった頃の初恋以来、自分には大した色恋沙汰が無いのだけど、男の子との距離の近さにドギマギするくらいの感情だったら私にもある。
「……えっ、と、何されたんですか？」
先程の記憶を払拭したくて、会話が苦手なくせに話題を振ると、瀬見さんが「騎馬戦でさ」と口を開いた。
「若利のとこの騎馬が、すごい覇王色だったろ？ 終盤の方でマークされて、メンバーがビビって騎馬崩れてさ……」
確かに、牛島さんは190センチ近いし筋肉も相まってガッシリしてるから、怖くなる気持ちもわからないでもない。
ただ、瀬見さんはいつも部活で牛島さんと話しているし、今更怖いとかもないと思うので、自分はビビっていないのに怪我をしたって不運すぎる。
「すり傷だったら、本当は絆創膏貼ったほうがいいんですけど……。手のひらだと剥がれちゃいますよね」
すり傷をした時の対処法は、患部を水で綺麗に流し(汚れが酷ければ消毒液を使う)、絆創膏を貼るというのがテンプレなのだが、ご存知の通り手のひらの怪我というの厄介で、手は一番動作が多いし汗もかきやすいから、絆創膏がちゃんと貼れないことが多い。
「すり傷って乾燥させるといけないので、ハンカチとか……それか保健室でガーゼ借りてきて暫く手を巻くと良いと思います」
「え、乾燥させるとダメって初めて聞いた。詳しいな」
「それは……」
思い出したのは、中一の頃のこと。
「及川さんとかが特に、よく怪我をしていて……」
最初、及川さんが苦手だった。なんかちょっとチャラいし、飄々としていて、ブーメランと言われそうだけど、何を考えているのかよくわからなくて。
だけどあの人にはいつも余裕なんてなかったし、私が中一だったときの前半期なんて特にオーバーワークが激しかった。
焦燥。羨望。嫉妬。
及川さんは輝いているように見えて、その裏では色々な負の感情を抱えていた。だけど彼の気持ちを理解するなんてきっと私には無理だったから、代わりに養護教諭の先生に倣って怪我の対処法を勉強していたのだった。
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昆布の神(プロフ) - （名前）さん» お気遣いありがとうございます……！ 実は今の時点で7シリーズ続くことが確定しておりまして、コレ完結まで時間かかりすぎだろ問題になっておりまして……。できる範囲で頑張りますね。感染症が流行っているので、そちらも体調にお気をつけて！ コメありです！ (1月11日 22時) (
レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
（名前）(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく拝見しております！何だか焦っているように見えてとても心配です💦無理して書かなくても自分のペースで投稿しても良いんですからね！！これからも体調には十分に気をつけて過ごして下さい！これからも応援しています！ (1月11日 21時) (レス) @page48 id: 9cd8b18189 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - Yunaさん» コメありです。更新の準備をしておきますので楽しみにしていてくださいませ……！ (1月2日 17時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
Yuna(プロフ) - いつもお話楽しく読ませてもらってます！作者様もお気をつけください！1週間後楽しみにしています。 (1月2日 12時) (レス) @page39 id: 8dc1901234 (このIDを非表示/違反報告)
昆布の神(プロフ) - ミミさん» コメありです。嬉しいコメントありがとうございます！ 頑張ります🫶 (12月19日 20時) (レス) id: aca7717c5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：昆布の神
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fullmoon721/
作成日時：2023年12月18日 22時
